その島のひとたちは、ひとの話をきかない

-精神科医、「自殺希少地域」を行く-

森川すいめい 著

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その島のひとたちは、ひとの話をきかない

定価1,540円(本体1,400円)

発売日2016年6月

ISBN978-4-7917-6931-5

「今、即、助ける」
「できることは助ける。できないことは相談する」
「助けっぱなし、助けられっぱなし」……

数々の支援活等で注目をあびる精神科医が、
生きやすさのヒントを探す旅にでる。

「チームやコミュニティの仲間を孤立させないために、すべての人が居心地の良さを感じられる社会を実現するために、ぜひ読んでおきたい一冊です。」・・(ビジネスブックマラソン) [2016年7月6日]

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【目次】

はじめに

序章 支援の現場で
自殺の少ない町は「癒しの空間」ではなかった
「自殺希少地域」研究の衝撃
自殺対策は予防と防止に分けて考える

第1章 助かるまで助ける
家の鍵があいている町で
ベンチにはいろいろな意味がある
「病、市に出せ」という教訓
困っていることが解決するまでかかわる
解決することに慣れている
お互いによく出会っているから助けられる
あいさつ程度の付き合いでも洗濯物を取り込む
自殺は仕方がないことと思わない

第2章 組織で助ける
効率化により変わりゆく町で
「人生は何かあるもんだ」で生まれた組織
他人のせいにしない
非営利組織に見出す希望

第3章 違う意見、同じ方向
東北の自殺の少ない村で
悪口や陰口はあるけれど
あいさつ程度の付き合いが孤立感を癒す
違う意見を話し合えるから派閥がない
理念で向かう方向を定める
外に出て行く力がないひとも死なない地域

第4章 生きやすさのさまざまな工夫
平成の大合併の町で
困難があったら工夫する
できることは助ける、できないことは相談する
コミュニケーションは上手下手ではなく慣れるもの
現場で課題に答える
トイレを借りやすい地域
幸福度が高い地域は男女が平等

第5章 助けっぱなし、助けられっぱなし
本土とつながったあとの島で
行政はひとの困りごとを解決するために存在する
意思決定は現場で
困っているひとは今、即、助ける
助け合いではなく「助けっぱなし、助けられっぱなし」
島の外のひとたちも生きやすくなる
写真にはひとが写るもの
「私たちが楽しくなきゃダメだ」

第6章 ありのままを受け入れる
厳しくも美しい自然の島で
みんな違うということ
孤立させないネットワークと対話
その島のひとたちは、ひとの話をきかない
島でひとつのコンセプトをもつ
非営利組織が地域の中心になっていく
特養でも自分らしく生きられる
ありのままを受け入れる
なるようになる、なるようにしかならない

終章 対話する力
自殺希少地域のひとたちは対話する
オープンダイアローグの七つの原則
生きるということ


謝辞

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[著者] 森川すいめい(もりかわ すいめい)

1972年生まれ。精神科医。鍼灸師。現在、医療法人社団翠会みどりの社クリニック院長。阪神淡路大震災時に支援活動を行う。また、NPO法人「TENOHASI(てのはし)」理事、認定NPO法人「世界の医療団」理事、同法人「東京プロジェクト」代表医師などを務め、ホームレス支援や東日本大震災被災地支援の活動も行っている。アジア・アフリカを中心に、世界45か国をバックパッカーとして旅した。著書に『漂流老人ホームレス社会』(朝日文庫)。