列島語り

-出雲・遠野・風土記-

赤坂憲雄、三浦佑之 著

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列島語り

定価2,200円(本体2,000円)

発売日2017年4月22日

ISBN978-4-7917-6970-4

忘れられた日本列島をもとめて
出雲の歴史に古の敗者たちの声を聞き、遠野の伝承に語りのもつ意味を見つめ、風土記から忘れられた人々の息遣いを掘り起す。古代文学者と民俗学者がそれぞれの知見からくりかえし言葉を重ねて生まれた、奇跡のような対談。
これはただの対談集ではない。対談のかたちをかりた、大いなる宣言の書。

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【目次】

はじめに――赤坂憲雄


第1章 出雲は何を問いかけるか
出雲をめぐる連想/海が繋ぐ文化/潟の世界から/神話はどこからやってきたか/タブと飛魚/海の彼方へ死者は還る/構造論からフォークロアへ/古代への想像力/出雲は何を問いかけるか
 

第2章 「遠野物語」と伝承世界
生きられた伝承世界へ/『遠野物語』と『遠野物語拾遺』/物語が醸成する場所/物語の起源はさまざま/『遠野物語』の文学性と実話のリアリティ、そして物語の変容
 

第3章 死者へむかう物語――鎮魂と和解のための物語論
震災復興から物語のほうへ/『遠野物語』第九九話――死者をめぐる物語/和解と魂/物語とはなにか
 

第4章 語りの世界を旅する――古事記と風土記から
古事記と日本書紀と風土記/三浦説に対する反応/太安万侶と多一族の謎/語りの系譜と文字の系譜――稗田阿礼とは誰か/古事記の背後にある「語り」の世界/テクスト以前の世界を想像できるか――くりかえされる「文字と語り」の問題/折口信夫と「語り」あるいは「語り部」/ふたつの「いま」/風土記のフォークロア/ヤマトタケルは「天皇」になったのか/神社建設起源譚と風土記の訓読/「語り」の世界から見えてくるもの
 

第5章 忘れ去られた海の道
出雲の謎にせまる/船と翡翠/忘れ去られた海の道/なぜ近代日本は海を忘れたのか/陸からは見えない/「海の文化圏」/カムムスヒという神があらわすもの/「みさき」と「さき」と「はな」


おわりに――三浦佑之

索引

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[著者] 赤坂憲雄(あかさか のりお)

1953年東京都生まれ。東京大学文学部卒。学習院大学教授・福島県立博物館館長。東北学を提唱し、1999年に雑誌『東北学』を創刊。震災後も、みずからの足で広く被災地をめぐり、精力的に活動をつづけている。2007年『岡本太郎の見た日本』でドゥマゴ文学賞・芸術選奨受賞。著書に『異人論序説』(ちくま学芸文庫)、『境界の発生』(講談社学術文庫)、『東西/南北考』(岩波新書)、『遠野/物語考』(荒蝦夷)、『震災考』(藤原書店)など多数。
 

[著者] 三浦佑之(みうら すけゆき)

1946年三重県生まれ。成城大学文芸学部卒業、同大学院博士課程単位取得退学。古代文学を専攻し、伝承・昔話や地方の言語などを多岐にわたり研究。通説にとらわれない論を展開しつづけている。2002年に古老の語り口調で訳した『口語訳 古事記』(文藝春秋)で第一回角川財団学芸賞受賞。著書に『古代研究』、『増補新版 昔話に見る悪と欲望』、『古事記学者ノート』(いずれも青土社)、『風土記の世界』(岩波新書)、『古事記を読みなおす』(ちくま新書)など多数。