情動の社会学

-ポストメディア時代における”ミクロ知覚”の探求-

伊藤守 著

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情動の社会学

定価本体2400円+税

発売日2017年10月7日

ISBN978-4-7917-7017-5

私たちはなぜ、感情に支配されてしまうのか。
多様なコミュニケーションツールがあまねく浸透したポストメディア社会。そこでは、時として真偽では測れない「情報」によって、社会全体はあらぬ方向へ駆動されていく。SNSなどのメディア・コミュニケーションの状況から、領土問題やオリンピックなどの政治問題まで、私たちの判断や思考を揺さぶる情動の問題系に、最新のメディア理論で挑む。

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【目次】
 

序章――情動化する社会を読み解くために
ガタリの三つのエコロジー論/ガタリの議論から三〇年が経過した「いま」/あらためてガタリの構想に立ち返る/本書の構成

第1部
第1章 デジタルメディア時代における言論空間――理論的探求の対象としての制御、情動、時間
デジタルメディア環境の劇的変化/コミュニケーションと言論に対する制御と制御不能のメカニズム/理論的焦点としての情動/政治的意思形成過程の質的変化と情動/言論空間の外形的な変化と準‐安定状態/時間という契機と経験概念の根本的な再考

第2章 「事態の潜勢態」をめぐって――ホワイトヘッドの「抱握」概念から
はじめに/「純粋経験(pure experience)」とはいかなる経験か/ホワイドヘッドの「抱握」について/主体的形式/おわりに――情動のコミュニケーションの展開にむけて

第3章 知的感受と情動の強度――「感受」の公共的性格
はじめに/観念的感受における「価値づけ」/経験の高次の諸相――知的感受
/知的感受の相における情動の発現/感受の私的性格と公共的性格/小括

第4章 情動と社会秩序の宙づり――ホワイトヘッドとパースの社会学的射程
記号と情動/情動が触発されるとき/潜勢態が顕になること/情動とミクロ知覚、そしてマクロなポリティクス/情動のハイジャック

第5章 情動の政治――フクシマ、領土、オリンピック
領土/パースの記号論のなかの三つの解釈項/論理操作による脅威の自己生産/フクシマ、オリンピック/結びにかえて――時間と空間の操作技術

第2部
第6章 社会の地すべり的な転位――コミュニケーション地平の変容と政治的情動
メディア空間の拡張/電話からケータイへ、ケータイからソーシャルメディアへ/ソーシャルメディア空間のことばと身体/コミュニケーション・ネットワークの「逆転」「過剰」「変質」/コミュニケーション資本主義と情報のモジュレーション/終わりに

第7章 ポストメディア時代のコミュニケーション・モード――SNSは何を変えつつあるのか?
二○○○年代から急速に変化したメディア環境/必要とされるコミュニケーション・モデルの相対化/脱‐主知主義的コミュニケーションの試み/ソーシャルメディアがもたらす新しい環境/変容するコミュニケーションの基盤/地すべり的に転位するコミュニケーション

第8章 オーディエンス概念からの離陸――群衆、マルチチュード、移動経験の理論に向けて
モバイルメディアを携帯する集合的主体は誰か/一九世紀のメディアと群衆/「ポストフォーディズム」社会におけるマルチチュード

終章――ポストメディア時代の行方と展望

あとがき
註・参考文献
索引

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[著者] 伊藤 守(いとう・まもる)

早稲田大学教育・総合科学学術院教授。専門は社会学、メディア・文化研究、人文社会情報学。単著に『情動の権力――メディアと共振する身体』(せりか書房、2013。韓国語版として『정동의 힘 –미디어와 공진(共振)하는 신체』 출판사 : 갈무리、2016)、『ドキュメント テレビは原発事故をどう伝えたのか』(平凡社、2012)、共著にMedia Contents und Katastrophen: Beiträge zur medialen Verarbeitung der Großen Ostjapanischen Erdbebenkatastrophe(IUDICIUM Verlag, GmbH München, 2016)、共編著に『ニュース空間の社会学――不安と危機をめぐる現代メディア論』(世界思想社、2015)、『アフター・テレビジョン・スタディーズ』(せりか書房、2014)、他多数。