セザンヌの地質学

-サント・ヴィクトワール山への道-

持田季未子 著

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セザンヌの地質学

定価2,090円(本体1,900円)

発売日2017年11月10日

ISBN978-4-7917-7021-2

あの山は火の山、あの石の塊は火なのだ――。
セザンヌ理解を大きく揺るがす、峻厳な「サント・ヴィクトワール山」連作。今この瞬間に死滅し、かつ再生する世界を捕獲せんとするセザンヌの果敢な試行を追う。大胆で挑戦的なセザンヌ論。

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【目次】
 

1章 あの石の塊は火だった
1.ジョワシャン・ガスケとの対話録から
2.土台に注ぐ眼差し
3.山、岩石、地質学
 

2章 漁村レスタックの海と谷――印象派を越えて
1.フォルチュネ・マリオンとの交友
2.セザンヌの修行時代
3.高い視点
4.ミストラルが吹く渓谷の家
 

3章 丘の上の建築
1.城砦都市ガルダンヌ
2.『ガルダンヌ』連作における実景と抽象
3.ルーヴルの『夏』に倣う
4.ガルダンヌからみるサント・ヴィクトワール山
 

4章 ビベミュス石切り場にて
1.トロネー街道を行く
2.採石場の巨礫
3.正面性、平面性、垂直性
4.太古の時の風景
 

5章 終焉に向かう世界
1.人が住まない家
2.シャトー・ノワールの園庭の石材
3.人工と自然
 

6章 プロヴァンスのプッサン
1.セザンヌの古典主義
2.プッサンにおける山、岩石、建築石材
3.『聖ヨハネのいる風景』の不安
4.崩壊をはらむ世界を秩序づける
 

7章 巨人のいる場所
1.トロネーから見る民家と山
2.ローヴ通りのアトリエ
3.プッサンの山頂の奇岩
4.黒煙を吐く城砦
5.巨人ポリュペーモスと岩山
 

8章 南仏のメランコリー
1.土、岩、空そして海――三つの『サント・ヴィクトワール山』
2.メランコリーの水脈
3.エピローグ――自然の本質を見つめる


あとがき

エクス・アン・プロヴァンス周辺地図
ポール・セザンヌ略年譜
図版一覧
主要文献

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[著者] 持田季未子(もちだ・きみこ)

大妻女子大学名誉教授。東京大学大学院比較文学・比較文化博士過程単位取得修了。美学・美術史専攻。主な著書:『絵画の思考』(岩波書店、吉田秀和賞受賞)、『希望の倫理学』(平凡社)、『17世紀の光』(岩波書店)ほか。訳書にE・ロータース『ベルリン――芸術と社会1919-1933』(岩波書店)ほか。