「混血」と「日本人」

-ハーフ・ダブル・ミックスの社会史-

下地ローレンス吉孝 著

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「混血」と「日本人」

定価3,520円(本体3,200円)

発売日2018年8月22日

ISBN978-4-7917-7094-6

かくもあいまいな「日本人」の境界を生きる。
「日本人」の境界線はどのように引かれているのか。その境界は、いかに生きられているのか。混血、あいのこ、ハーフ、ミックス、ダブル…ときに侮蔑的な言葉を浴びせられ、差別され、あるときには羨望のまなざしで見つめられながら、「日本人」と「外国人」のはざまを生きてきた人びと。かれらの生きた戦後史と、現代を生きるかれらの生活史をたどることで、もうひとつの「日本」の輪郭線が浮かび上がる。戦後史研究の新たな展開。

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【目次】

はじめに

序章
1 日本社会と「ハーフ」
2 分析枠組み
3 人種編成論の日本の文脈への援用
4 方法と対象
5 インタビューの概要
6 本書の構成

第Ⅰ部 「混血」の戦後史

第1章 敗戦と「混血児問題」の時代 一九四五~一九六九年
1 「日本人」の境界線の引き直し
2 旧植民地出身者をめぐって
3 「混血児問題」をめぐって
4 文部省の「混血児対策」
5 市民社会の動向
6 小括:戦後日本における「日本人」化/「外国人」化の萌芽

第2章 豊かさと「ハーフ」の時代 一九七〇~一九八九年
1 「ハーフ」の誕生
2 日本人論における「混血児」の不在
3 「混血児問題」のその後
4 「ハーフ」言説の登場
5 「国際化」のなかの日本人論
6 国籍法改正運動が焦点化しなかったもの
7 小括:「ハーフ」登場のなかで

第3章 「多文化共生」と「ダブル」の時代 一九九〇~二〇〇〇年
1 グローバル化のなかで何が起こったのか
2 開国・鎖国論争から入管法改定へ
3 その後の「ハーフ」言説
4 「混血児」の使用禁止運動と「ダブル」言説の登場
5 「多文化共生」で繰り返される「日本人」対「外国人」
6 小括:恣意的に使い分けられる人種のロジック

第4章 「ハーフ」の多様化の時代 二〇一〇年~
1 「日本人/外国人」二分法の現在
2 日系定住外国人政策
3 「ハーフ」表象の新たな展開
4 消費の対象から発信する主体へ
5 コミュニティ形成とアイデンティティ・ポリティクス
6 メディア・アクティビズム
7 小括:「あたりまえ」が問い直されるとき

 第Ⅰ部まとめ
 

第Ⅱ部 「混血」の生活史
第Ⅱ部への序――戦後史から生活史へ

第5章 「あなたはナニジン?」――日常生活における人種経験
1 日常から何が見えるか
2 日常生活での人種経験
3 ジェンダー、セクシュアリティと「ハーフ」
4 エスニシティと「ハーフ」
5 ネーションと「ハーフ」
6 小括:日常生活に偏在する人種

第6章 「ハーフ」の捉えがたさ
1 なぜ「ハーフ」は捉えがたいのか
2 位相Ⅰのケース
3 位相Ⅱのケース
4 位相Ⅲのケース
5 小括:位相ごとの人種化

第7章 「日本人」らしさがもたらす人種化の力学――家族・学校・労働・ストリートの現場から
1 現場で何が起こっているのか
2 家族
3 学校
4 労働
5 ストリート
6 制度間の相互作用
7 人種化がもたらす社会的帰結

第8章 「日本人」と「外国人」に二分される世界を生きる
1 人生の軌跡をたどる
2 ライフコース分析
3 小括:移りゆくライフコースのなかで

 第Ⅱ部まとめ
 

終章

あとがき
参考資料
引用・参考文献
索引 

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[著者] 下地ローレンス吉孝(しもじ・ろーれんす・よしたか)

1987年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。専門は社会学・国際社会学。現在、 港区立男女平等参画センターに事業コーディネーターとして勤務 。論文に「戦後日本社会の「混血」「ハーフ」をめぐる言説編成と社会的帰結:人種編成論と節合概念の批判的援用」(『社会学評論』、2017年)、「「混血児」をめぐる境界策定」(『歴史評論』第815号、2018年)などがある。