深読みミュージカル 新装版

-歌う家族、愛する身体-

本橋哲也 著

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深読みミュージカル 新装版

定価本体2200円+税

発売日2018年10月19日

ISBN978-4-7917-7115-8

未来をきりひらく歌とドラマの力
『サウンド・オブ・ミュージック』『ジーザス・クライスト・スーパースター』から『ライオン・キング』まで。代表的名作の魅力を現代文化の力学のなかで読み解く、愛と知と葛藤の本格的ミュージカル論。

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【目次】

まえがき

Ⅰ 家族

第1章 『サウンド・オブ・ミュージック』 継母への跳躍、あるいはミドルクラスの神話
0.映画の記憶
1.「マリアという謎」――尼僧と家庭教師
2.「一六歳から一七歳へ」――恋人と母親
3.「サウンド・オブ・ミュージック」――不在の母親と家庭の音楽
4.「何か良いこと」――恋愛と結婚
5.「エーデルワイス」――ナチスからの逃亡と家庭の勝利

第2章 『ライオン・キング』 異文化共生、あるいは血統の呪縛
0.サバンナのハムレット
1.「王になるのが待ち遠しい」――長子相続と女性の役割
2.「お前のなかの命」――父親と長男の絆
3.「ハクナ、マタータ」――遅延される復讐
4.「スカー王の狂気」――孤独な独裁者の反逆と統治
5.「お前のなかの父」――亡霊の命令と血統の呪縛

第3章 『メアリー・ポピンズ』 ネオリアリズム、あるいは乳母の魔法
0.帰ってきた乳母
1.「完璧な乳母」――不気味なもの
2.「鳩にエサを」――金融資本主義という病
3.「癇癪、癇癪」――オモチャの復讐れる復讐
4.「凧をあげよう」――春風に乗ってきた乳母
5.「大人の夢」――魔法の放棄と乳母の教訓

Ⅱ 言語

第4章 『マイ・フェア・レディ』 言語帝国主義、あるいはジェントルマン/レディの資格
0.アクセントの帝国
1.「なぜ英国人にはできない?」――英語教育と植民地主義
2.「僕は普通の男」――下層への憧れ
3.「一晩中でも踊れたのに」――解放と抑圧
4.「あなたなしで」――女性の自立と階級の差異
5.「忘れられないあの顔」――声とスリッパ

第5章 『ウエスト・サイド・ストーリー』 人種主義、あるいは記号の専制
0.四世紀後の恋愛至上主義
1.「今宵こそ」――名前の力
2.「アメリカ」――移民のナショナリズム
3.「いつかどこかに私たちだけの場所が」――恋愛とユートピア
4.「あんな男」――人種主義の束縛
5.「私にも憎悪がある」――若者たちの叛乱

第6章 『キス・ミー・ケイト』 植民地主義、あるいは引用の政治学
0.じゃじゃ馬の調教
1.「愛におぼれて」――劇中劇の舞台裏
2.「パデュアに来たのは金持ち女と結婚するため」――結婚と財産
3.「私の流儀であなたを愛させて」――恋愛と虚構
4.「シェイクスピアを磨きあげよう」――引用と翻訳
5.「どうして女ってそんな単純なの」――模倣される欲望

Ⅲ 身体

第7章 『ラ・マンチャの男』 ヒロイズム、あるいは歴史の相対性
0.私は私?
1.「なんでも同じ」――牢獄の劇中劇
2.「ドルネシア」――行動する相対主義
3.「本当にあの人のことが好きなんだ」――民衆の連帯
4.「われこそドン・キホーテ」――他者でもありうる自己
5.「見果てぬ夢」――敗北と理想の追求

第8章 『ジーザス・クライスト・スーパースター』 民主主義、あるいはメディアとしての偶像
0.ロックとキリスト
1.「天国の約束」――宗教と政治
2.「どうやってあなたを愛すれば」――娼婦と救世主
3.「ゲッセマネ」――エリートと大衆
4.「ユダの死」――身体と資本主義
5.「もう一度始めさせてほしい」――革命と共同性

Ⅳ 他者

第9章 『オペラ座の怪人』 エキゾチズム、あるいは仮面の下の天使
0.美女と野獣
1.「音楽の天使」――不在の肉体
2.「オペラ座の怪人」――異界への旅
3.「私があなたに望むのは」――仮面を隠す傷
4.「戻れない地点を越えて」――劇中劇での婚姻
5.「夜の音楽」――恋愛劇を超えて

第10章 『レ・ミゼラブル』 階級社会、あるいは敗者の正義
0.舞台の上の革命
1.「私が見た夢」――共有される幻想
2.「私のところへおいで」――約束と権力
3.「民衆の歌声が聞こえるか?」――個人の愛から集団の願いへ
4.「私一人で」――歴史の主体
5.「空のテーブルと空の椅子」――敗者の復権

あとがき
新装版あとがき

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[著者] 本橋哲也(もとはし・てつや)

1955年東京生まれ。東京経済大学コミュニケーション学部教授。専門はイギリス文学、カルチュラル・スタディーズ。著書に『本当はこわいシェイクスピア』(講談社選書メチエ)、『思想としてのシェイクスピア』(河出書房新社)、『ポストコロニアリズム』(岩波新書)、『ディズニー・プリンセスのゆくえ』(ナカニシヤ出版)など。訳書に、ハーヴェイ『ネオリベラリズムとはなにか』、モートン『ガヤトリ・チャクラヴォルティ・スピヴァク』、ヴォーン『キャリバンの文化史』、チョムスキー『メディアとプロパガンダ』(以上、青土社)、ロイ『民主主義のあとに生き残るものは』(岩波書店)など。