ナラティヴと共同性

-自助グループ・当事者研究・オープンダイアローグ-

野口裕二 著

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ナラティヴと共同性

定価2,640円(本体2,400円)

発売日2018年12月18日

ISBN978-4-7917-7128-8

ともに生きていく関係をつくること。
ひとりでも頑張れる能力ではなく――

問題を特定するのではなく、問題を語りあうこと。問題を個人で背負うのではなくネットワークで背負うこと。決して結論を急がず、不確実性に耐えながら、さまざまな思いが自由に語られる空間をつくること。個人化された語りから、地域にひらかれた語りへ。ナラティヴ・アプローチの現在地から考える、新しいケアのかたち。

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【目次】

はじめに

I 言葉と現実

第一章 言葉による癒し

第二章 社会的現実が立ち上がるとき
「社会的現実」はいかにして特定できるか/家族療法からの示唆/ある講習の場面で/「社会的現実」の構成

第三章 読みの多様性をめぐって
社会構成主義とナラティヴ・アプローチ/ナラティヴの社会的機能/「読み」の機能/ナラティヴ・アプローチと文学教育

 

II 物語と社会

第四章 現代社会へのナラティヴ・アプローチ
社会的現実とナラティヴ/個人化社会のナラティヴ/リスク社会のナラティヴ/当事者性のナラティヴ/現代社会のナラティヴ

第五章 親密性と共同性――「親密性の変容」再考
親密性の変容/ギデンズ以降/「親密圏」の政治/親密性と共同性の日本的特徴/親密性と共同性のゆくえ

第六章 アディクションとナラティヴ
はじめに/「言いっぱなし聞きっぱなし」のナラティヴ/「外在化」のナラティヴ/物語の書き換え/おわりに

 

III 対話とネットワーク

第七章 ナラティヴとオープンダイアローグ――アディクションへの示唆
ナラティヴ・アプローチにおける対話/オープンダイアローグの衝撃/ナラティヴ・アプローチとの差異/アディクションへの示唆

第八章 ソーシャルネットワークの復権
オープンダイアローグの魅力/ネットワークミーティング/「個人化」と「専門化」/「問題」をネットワークで背負う

第九章 ナラティヴと感情
感情と臨床/ナラティヴ・メディエーション/オープンダイアローグ/専門家モデルと感情

 

IV 当事者性と共同性

第一〇章 当事者研究が生み出す自己
はじめに/当事者研究の展開/当事者研究と自己/新しい「再帰的自己」/おわりに

第一一章 自助グループと当事者研究
はじめに/自助グループの特徴/自助グループと当事者研究/おわりに

第一二章 医療コミュニケーションの変容――平等化と民主化をめぐって
はじめに/病いの語り/ナラティヴ・アプローチ/当事者研究/オープンダイアローグ/デザイン・モード・倫理

第一三章 ナラティヴと共同性
ガーゲンの論点/再帰化と個人化/共同性の実践/ナラティヴ・アプローチの新たな役割


おわりに
参考文献

 

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[著者] 野口裕二(のぐち・ゆうじ)

1955年千葉県生まれ。現在、東京学芸大学教育学部教授。専門は臨床社会学、医療社会学。北海道大学文学部卒業、同大学院博士課程単位取得退学。著書に『アルコホリズムの社会学――アディクションと近代』(日本評論社)、『物語としてのケア――ナラティヴ・アプローチの世界へ』(医学書院)、『ナラティヴの臨床社会学』(勁草書房)、『ナラティヴ・アプローチ』(編著、勁草書房)など。

 

【お詫びと訂正】
本書第1刷、参考文献におきまして、“斎藤環著・訳(2015)『オープンダイアローグとは何か』、医学書院”の表記が抜け落ちておりました。
また、参考文献内の論文、Seikkula, J. & Olson, M. E.(2003)およびSeikkula, J. & Trimble, D. (2005)は同書に訳文が収録されています。関係者の皆さま、読者の皆さまには大変ご迷惑をおかけいたしました。お詫びをして訂正をいたします。