百年の批評

-近代をいかに相続するか-

福嶋亮大 著

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百年の批評

定価2,420円(本体2,200円)

発売日2019年5月11日

ISBN978-4-7917-7167-7

近代は終わった?――だが、それは無にはならない。
「日本は近代のテスターである」というテーゼを掲げて、オリジナルな平成文学論から、鋭角的な少国民世代論・物語論までを一挙展開。著者10年の仕事を精選し、百年の日本を展望する「近代の相続」論。

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【目次】

はじめに――近代をテストする

第Ⅰ部 縦に読む

第1章 漱石におけるアポリア――夢・妹・子供
第2章 文学史における安吾
第3章 文明と失踪――丸谷才一の両面性
第4章 司馬遼太郎と三島由紀夫――「国民作家」の戦争体験
第5章 『太平記』のプロトコル
第6章 京都の市民的ミニマリズム――大田垣蓮月をめぐるノート
第7章 家・中国・メディア――折口信夫『死者の書』の構造
第8章 舞城王太郎と平成文学のナラティヴ

Ⅱ 横に読む

第1章 建築の視霊者――磯崎新『建築の解体』論
第2章 日本を転位する眼――山崎正和論
第3章 分身の力――大江健三郎論
第4章 神の成長――高畑勲『かぐや姫の物語』論
第5章 高畑勲の批評性
第6章 存在・固有名・物語――蓮實重彦と個体性の批評

Ⅲ 点で読む

ミシェル・ウエルベック『地図と領土』
ミシェル・ウエルベック『服従』
沼田真佑『影裏』
蓮實重彦『伯爵夫人』
奥泉光『雪の階』
橋本治『草薙の剣』
閻連科『炸裂志』
伊格言『グラウンド・ゼロ』
甘耀明『冬将軍が来た夏』
中沢新一『日本文学の大地』
渡部直己『小説技術論』
宇野常寛『母性のディストピア』
佐藤優『学生を戦地に送るには』
ジェンダー・トラブルの観点から『紅楼夢』を読む――合山究著『『紅楼夢』――性同一性障碍者のユートピア小説』
香港のストリートから考える
今なお古びない「日本病」カルテ
『カント政治哲学講義録』
ロラン・バルトとエッセイ
戦地の外で
日本と中国のあいだ
『暮しの手帖』とタテの伝承
文明そのもののおぞましさ――諸星大二郎の中国もの
魯迅「私は人をだましたい」
半歩遅れの読書術
『唐代胡人俑』展に寄せて
山崎正和の思想を読む
都市への逆風のなかで手紙を書く

初出一覧
人名索引

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[著者] 福嶋亮大(ふくしま・りょうた)

1981年、京都市生まれ。文芸評論家。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。現在、立教大学文学部准教授。2014年に『復興文化論』(青土社)でサントリー学芸賞、2017年に『厄介な遺産』(青土社)でやまなし文学賞を受賞。そのほかの著書に『神話が考える』(青土社)、『ウルトラマンと戦後サブカルチャーの風景』(PLANETS)、『辺境の思想』(張彧暋との共著、文藝春秋)。