現代思想2019年11月号 特集=反出生主義を考える

-「生まれてこないほうが良かった」という思想-

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現代思想2019年11月号 特集=反出生主義を考える

定価1,540円(本体1,400円)

発売日2019年10月28日

ISBN978-4-7917-1388-2

私たちは生まれてこないほうが良かったのか?
人生において何か困難に直面したとき、生まれてこなければこんな苦しみを味合わなくてすんだのに、という気分にとらわれるのも不思議ではない。人間は生まれてこないほうが良いと考える立場の登場は古代ギリシャにまで遡ることができるが、それを哲学者デイヴィッド・ベネターが「反出生主義」として議論の俎上に載せたことで、近年急速に注目を集めている。本特集は現代の反出生主義について、感情的な応酬のみが注目されがちな現状を問い直し、国内外の議論をそのテーマの多様性も含めて紹介する。

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【目次】

 

特集*反出生主義を考える――「生まれてこないほうが良かった」という思想

 

【討議】
生きることの意味を問う哲学 / 森岡正博+戸谷洋志 

【私たちの生に未来はあるか】
天気の大人――二一世紀初めにおける終末論的論調について / 小泉義之 
生に抗って生きること――断章と覚書 / 木澤佐登志 

【To be, or not to be : that is the question.】
考え得るすべての害悪――反出生主義への更なる擁護 / D・ベネター(訳=小島和男)
反-出生奨励主義と生の価値への不可知論 / 小島和男 
生まれてこないほうが良いのか?――書評:デイヴィッド・ベネター『生まれてこないほうが良かった』 / T・メッツ(訳=山口尚) 
非対称性をめぐる攻防 / 鈴木生郎 
ベネターの反出生主義における「良さ」と「悪さ」について / 佐藤岳詩 
「非同一性問題」再考――「同一」な者とは誰のことか / 加藤秀一 
「痛み」を感じるロボットを作ることの倫理的問題と反出生主義 / 西條玲奈 

【信仰との接続点】
釈迦の死生観 / 佐々木閑 
生ま(れ)ない方がよいという思想と信仰――宗教との関連から捉える / 島薗進 

【生まれ出づる悩みの、その先へ】
ハンス・ヨナスと反出生主義 / 戸谷洋志 
反出生主義における現実の難しさからの逸れ――反出生主義の三つの症候 / 小手川正二郎 
反出生主義と女性 / 橋迫瑞穂 
トランスジェンダーの未来=ユートピア――生殖規範そして「未来」の否定に抗して / 古怒田望人 
未来による搾取に抗し、今ここを育むあやとりを学ぶ――ダナ・ハラウェイと再生産概念の更新 / 逆卷しとね 

 

【連載●デミウルゴス●第八回】
双制(デュアル・システム)(五) / 磯崎新

【連載●科学者の散歩道●第六三回】
メカニクスの下克上――〝働く学問〟へ / 佐藤文隆 

【研究手帖】
科学史とエンターテインメント / 多久和理実