チョンキンマンション

-世界の真ん中にあるゲットーの人類学-

ゴードン・マシューズ 著,宮川陽子 訳

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チョンキンマンション

定価3,080円(本体2,800円)

発売日2021年2月22日

ISBN978-4-7917-7354-1

小川さやか氏(『チョンキンマンションのボスは知っている』著者)推薦!
世界有数のメトロポリス、香港。グローバル経済、文化の中枢を担う大都会の一角に、ひとつの巨大な雑居ビル、チョンキンマンション(重慶大厦)がある。17階建てのそのあやしげなビルには、毎日100か国以上の人びとが行き交う。なぜ世界中のバックパッカーや商人たちは、チョンキンマンションをめざすのか。そこでどんな取引がなされているのか。長年にわたり現場に通い続けた人類学者が丹念に描く、もうひとつのグローバリゼーション。解説・小川さやか

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序文 香港について

第1章 場所
チョンキンマンションを紹介しよう 「世界の真ん中にあるゲットー」 なぜチョンキンマンションは存在し、なぜそれは問題なのか 建物 歴史 所有者組合 商売 私自身のかかわり合い

第2章 人々
貿易業者オーナーと経営者 臨時雇いの労働者たち 亡命希望者たち 家政婦たち セックスワーカーたち ヘロイン中毒者 旅行者たち こうした異なる集団がいかに交流しあっているか

第3章 商品
チョンキンマンション内の商品の流通 商品を売る 買い手につけこむ コピー商品製造業者たちと仲買人たち 携帯電話販売店のごまかしと骨折り 多種多様な貿易業者たち 貿易業者の間の世代間格差 貿易業者の手法 中国の魅力 税関の脅威 商品と貿易業者の意義

第4章 法律
いたるところにある法律の影 法の境界線上でのせめぎあい 警察の役割 査証と住民権 亡命希望者と法律 「本物」と「偽物」の亡命希望者たち 亡命希望者たちの生活 変化する亡命希望者たちの扱い

第5章 未来
チョンキンマンションの変わりゆくイメージ チョンキンマンションはどのように人々を変えるか 文化的アイデンティティ グローバルな意義 チョンキンマンションの未来/世界の未来

一〇年後のチョンキンマンション 日本語版のあとがきにかえて
解説 小川さやか


参考文献

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[著者]ゴードン・マシューズ(Gordon Mathews)
香港中文大学人類学部教授。専門は「生きがい」「文化とアイデンティティ」「低価格のグローバリゼーション」「死後の世界」など。主著に『人生に生きる価値を与えているものは何か――日本人とアメリカ人の生きがいについて』(三和書籍)、Global Cultural/ Individual Identity: Searching for Home in the Cultural Supermarket(Psychology Press、未邦訳)、共著にHong Kong, China: Learning to Belong to a Nation(Routledge、未邦訳)、The World in Guangzhou: Africans and Other Foreigners in South China’s Global Market Place(Chicago University Press、未邦訳)、共編著に『若者は日本を変えるか――世代間断絶の社会学』(世界思想社)などがある。

[訳者]宮川陽子(みやかわ・ようこ)
アメリカ・コーネル大学卒業。訳書にG・マシューズ『人生に生きる価値を与えているものは何か――日本人とアメリカ人の生きがいについて』(三和書籍)がある。

[解説者]小川さやか(おがわ・さやか)
1978年愛知県生まれ。専門は文化人類学、アフリカ研究。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程指導認定退学。博士(地域研究)。日本学術振興会特別研究員、国立民族学博物館研究戦略センター機関研究員、同センター助教、立命館大学大学院先端総合学術研究科准教授を経て、現在同研究科教授。『都市を生きぬくための狡知――タンザニアの零細商人マチンガの民族誌』(世界思想社)で、2011年サントリー学芸賞(社会・風俗部門)、『チョンキンマンションのボスは知っている――アングラ経済の人類学』(春秋社)で、2020年、第8回河合隼雄学芸賞、第51回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。そのほかの著書に『「その日暮らし」の人類学――もう一つの資本主義経済』(光文社新書)がある。