ダンテ論

-『神曲』と「個人」の出現-

原基晶 著

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ダンテ論

定価3,960円(本体3,600円)

発売日2021年11月26日

ISBN978-4-7917-7385-5

恋する詩人か、闘う思想家か、預言者か、リアリストか。
恋に生き、政争に敗れ、叶わなかった理想を追い求めた詩人が夢見た物語――こうした『神曲』のイメージは過去のものとなった。明晰な思想のもとダンテが『神曲』で描いたものは何だったのか。現実世界の中で「個人」の出現を予見し、人々の理念を超越した平和を見出した試みを、第一人者が明らかにする。

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[目次]

はじめに

第一章 詩人の伝記
『神曲』/伝統的ダンテ像――青年貴族ダンテの報われぬ愛/伝統的なダンテの伝記/忘れられていた長子の発見/庶民にして孤児/ベアトリーチェというフィクション/大銀行間の武力闘争と庶民の政府/史上最初のバブルと庶民政治家の政治闘争/闘う亡命詩人/最期の時

第二章 ダンテ批評史
通常の研究史/イタリア建国以前/ダンテ生誕六〇〇年/ファシスト政権下のダンテ/第二次世界大戦中のダンテ/第二次世界大戦後のダンテ批評/本書はどこを目指すのか

第三章 失われた自筆原稿を求めて
写本、テクスト、注釈/テクストの異同/英訳/邦訳/現代の校訂版/写本/初期印刷本/古注との対話/解釈

第四章 フランチェスカ・ダ・リミニと「私(わたし)
フランチェスカとダンテ/エピソードをたどる/「私」は私である――普遍主義的解釈/「私」は私ではない――歴史主義的解釈/師グィニツェッリ、第一人者カヴァルカンティ、挑戦者ダンテ

第五章 ベアトリーチェ神話の終焉と預言する詩人
『新生』の主人公/『神曲』の主人公/歴史の中のダンテ/予型論の中のダンテ/預言者ダンテと歴史的存在のダンテとの接点

第六章 『神曲』と「個人」の出現
商業革命と都市社会/フィグーラ論をふりかえって/ダンテの時代区分/ブルネット・ラティーニとフィレンツェ/ダンテとフィレンツェ/経済と平和/平ポポロ民の思想とダンテの現実描写/ダンテにおける平和

第七章 ベアトリーチェの微笑
世界平和という思想/『帝政論』と『神曲』/「天国篇」の哲学的構成/ベアトリーチェの微笑と暗い森/地上における神の愛の兆し、光と円/オデュッセウスと海/暗い森から日の光まで

補論 『これが人間か』――アウシュヴィッツと詩について

終章 結論

あとがき
参考文献

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[著者]原 基晶(はら・もとあき)

1967年生まれ。東海大学文化社会学部准教授。専門はイタリア文学および中世ルネサンス文化。東京外国語大学大学院外国語学部イタリア語学科博士前期課程修了。博士(学術)。イタリア政府給費留学生としてヴェネツィア大学でジョルジョ・パドアン氏に師事。主な訳書にダンテ・アリギエリ『神曲』(講談社、2014年)、共著に『書物の来歴、読者の役割』(慶應義塾大学出版会、2013年)。2005年から惣領冬実『チェーザレ:破壊の創造者』(講談社)の監修を務める。