現代思想2021年8月号 特集=自由意志

-脳と心をめぐるアポリア-

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現代思想2021年8月号 特集=自由意志

定価1,760円(本体1,600円)

発売日2021年7月28日

ISBN978-4-7917-1417-9

‟自由な決定”は希望か、それとも幻想か?
「人間は自由に意志決定しうるか」というのは古くからある問いである。しかし近年の脳神経科学をはじめとする自然科学の発展により議論は多様化し、「自由意志は存在しない」という意見も無視できないものになりつつある。本特集では新たな時代を迎えた自由意志をめぐる問題系、その再編と進化の途上を一望する。

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【目次】

 

特集*自由意志――脳と心をめぐるアポリア​


 

【討議】
幻想を超えて世界のありかたを語るために / 青山拓央+岡ノ谷一夫

【自由意志を哲学する】
自由意志の有無について考える前に考えるべきこと / 古田徹也
「決定論」のヒストリー / 木島泰三
媒介された自由――媒介論的現象学の観点から  / 田口茂

【ハードプロブレムの正体】
この私に自由意志があると信じる(信じたい)理由  / 須藤靖
自由意志問題の建設的な取り組み方 / 谷村省吾
圏論的人工知能と圏論的認知科学――自由意志エージェントのための圏論的AIロボティクス / 丸山善宏

【自由意志はフィクション(となりうる)か】
SFにおける自由意志――「私」をめぐる問いから他者論そして時間論へ / 牧眞司

【ミクロレベルの探究】
意識はなぜ・どのように立ち上がるのか  / M・ソームズ(岸本寛史+佐渡忠洋訳)
意識と自由意志――量子論ゆらぎによる長期利得最大化と意識・無意識の表裏一体性の観点から / 渡辺正峰
量子物理と自由意志定理 / 筒井泉

【自由という深淵】
未遂の道徳――カントの道徳哲学と人間の自由の問題 / 脇坂真弥

【錯綜する自由と責任】
自由の価値の多面性――新しい自由論アプローチの素描 / 高崎将平
神経科学の法理論的含意と人類総無責任論――ヒューム=ストローソン的両立可能論からの検討 / 森村進
関係的自律とインフォームド・コンセント――自由で「自分らしい」意思決定のためには何が必要か / 玉手慎太郎
どうしてそんなに自由意志が大事なのか――自由意志と意識、責任の関係を再考する / 小山虎
動物機械論へのアンチテーゼ / 山口尚

【思想史を逍遥する】
自己原因と無原因の間――エピクロスからアフロディシアスのアレクサンドロスまで / 近藤智彦
自由と悲劇、あるいはさまざまなオイディプスたち / 益敏郎
露伴は宇宙を観る――「気象」と「数理」について / 尾形弘紀

 

連載●「戦後知」の超克●第一二回
柄谷行人における日本」の問いかた 中・1――その「起源」と「構造」 / 成田龍一

連載●ポスト・ヒューマニティーズへの百年●第一八回
メイヤスーと知的直観――ブラシエ(2) / 浅沼光樹

連載●タイミングの社会学●第九回
レジリエンス 上――〈貧困・時間・疲れ〉の連なりへ / 石岡丈昇

 

【研究手帖】
ズューフィッヒの愉悦――ビールと民衆運動 / 東風谷太