ユリイカ2021年10月臨時増刊号 総特集=須永朝彦

-1946-2021-

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ユリイカ2021年10月臨時増刊号 総特集=須永朝彦

定価2,200円(本体2,000円)

発売日2021年9月8日

ISBN978-4-7917-0406-4

美の世界を悼む
『東方花傅』『就眠儀式』『血のアラベスク』『日本幻想文学史』…須永朝彦の描きだしたあえかなる世界はどこにいったのか。短歌に発し、アンソロジストとしても名を残した異才。絢爛、凄絶、瀟洒、須永朝彦がいまこの世の存在であったこと、悠久から転生をくり返す貴種のいまひとたびの姿であったようなそのひとが幽冥に還った。彼のひとが残したものを、薫りの絶えぬ前に蒐めてみたい。

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【目次】

総特集*須永朝彦――1946-2021

 

■単行本未収録作品撰
須永朝彦拾遺抄
――[掌篇]彼の最期/[片歌集]蠱業/[短歌]未刊行短歌/[書評]連彈用超絶技巧練習曲『無惨』――塚本邦雄『連彈』書評/[目次案]『紅琴緑笛集 泰西秀詩抄』・『霞姻雪華集 日本近代秀詩抄』

■図版構成
須永朝彦自装本図譜

■発掘
須永朝彦宛書簡 / 種村季弘

■トリエステにて……
陰鬱な美青年の歌い手 / 菊地秀行
去年の薔薇 / 山尾悠子
少年というイキモノ / 長野まゆみ
『泰西少年愛読本』のことなど / 南條竹則

■夜陰に乗じて攫われる
月映のむくろ――須永私信披閲記 / 丹尾安典
美少年日本史の導き手 / 松原國師
美少年文学と幻想文学との幸せな邂逅――須永朝彦氏との二度の奇縁 / 浜田泰彦
朝彦親王台湾航海記――台湾の作家・呉継文への影響から須永朝彦文学の価値を再考する / 劉 靈均

■インタビュー
正弘から朝彦へ / 高橋睦郎 聞き手・構成=柿沼裕朋

■再録
歌文半世紀――幻の夢をうつゝに見る人は☆序章 / 須永朝彦

■歌人・須永朝彦
孤高作家の死を悼む / 岸田典子
魚竜に添う海豚 / 塚本靑史
五・七・七、官能の呪縛 / 江畑 實
かつて少年歌人 / 佐藤弓生
星菫の姥捨山(オーバースロー) / 結崎 剛

■黄金の翫賞
成熟と孤独――『鉄幹と晶子』 / 高遠弘美
喜望から反歌へ――須永朝彦と塚本邦雄の歌の比較から / 黒瀬珂瀾
美的至福と幻視、鑑識――読者としての須永朝彦 / 石原深予
月や星――須永朝彦『滅紫篇』を読む / 金沢英之

■オマージュ
須永朝彦的奇瑞 / 高原英理

■対談
幻の夢をうつゝに見る人――幻想と唯美とその晩年 / 東 雅夫 礒崎純一

■「明石町便り」追想
須永朝彦との三九年 / 吉村明彦
若き幻想文學の會(須永会) / 小川 功
朝顔夢幻――須永朝彦さんの思い出 / 菅原多喜夫
普段の須永さん / 曽根睦子
築地明石町のほうへ――『美少年日本史』追懐 / 稲田雅子

■雲母窯変
泉鏡花と須永朝彦 / 田中励儀
須永朝彦と演劇――坂東玉三郎、そして郡司正勝 / 児玉竜一
須永朝彦と雑誌『幻想文学』 / 茂木謙之介
須永朝彦の紋章学――歌川国芳《讃岐院眷属をして為朝をすくふ図》と辻惟雄『奇想の系譜』を中心に / 平井倫行

■クロロック公爵とその眷属
青春の須永朝彦 / 服部 正
〈永遠〉に開いた小窓――『就眠儀式』とその思い出 / 川野芽生
中国小説からみたアンソロジーの愉悦 / 立原透耶
美的至福の文学史 / 朝宮運河
須永朝彦BL談義 / 松山花子

■誄辞
遠街に人あらはれて――須永朝彦大人送別 / 高山 宏
須永さんの美の円規 / 柿沼裕朋
美しき吸血鬼――須永朝彦さんへの感謝を込めて / 下楠昌哉
狭間を漂う人 / 原 辰吉

■美的至福の世界
須永朝彦主要作品解題 / 絹山絹子