性と頓挫する絶対

-弁証法的唯物論のトポロジー-

スラヴォイ・ジジェク 著,中山徹、鈴木英明 訳

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性と頓挫する絶対

定価5,060円(本体4,600円)

発売日2021年10月26日

ISBN978-4-7917-7424-1

あなたを掴んで離さない〈セクシュアリティ〉の問題。
〈絶対的なもの〉への信仰がついえたとき、性的快楽がそれに接触するための唯一の手段となる。しかしそれは必ず頓挫する運命にある。セクシュアリティは本質的に首尾一貫しないものであるからだ――。カント、ヘーゲル、ラカンを鍵に、現代における「性」を探究し、存在論と観念論の交差点で「弁証法的唯物論」に新たな可能性を見出す。ジジェク哲学の中でも白眉をなす「超重要」理論書、堂々の翻訳刊行!

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[目次]

序論 弁証法的唯物論の向き付け不可能な空間

 

定理Ⅰ 存在論の視差

系1 知的直観と原型的知性――カントとヘーゲルにおける反省性

例証1・1 ブッダ、カント、フッサール

例証1・2 ヘーゲルの視差

例証1・3 「真実の死」

 

定理Ⅱ 人は性を通じて絶対に触れる

系2 性別化された時間の湾曲

例証2・1 図式論――カント、ヘーゲル……そして性における

例証2・2 マルクス、ブレヒト、そして性の契約

例証2・3 ヘーゲル的反復

例証2・4 七つの大罪

 

定理Ⅲ 三つの向き付け不可能なもの

系3 量子存在論のまぬけな神

例証3・1 倫理的なメビウスの帯

例証3・2 縫合としての暗黒の塔

例証3・3 縫合とヘゲモニー

例証3・4 鼻のある(または、ない)世界

例証3・5 量子的プラトニズムに向けて

 

定理Ⅳ 抽象化の執拗さ

系4 あそこがロドス島だ、あそこで跳べ!

例証4・1 言語、ララング

例証4・2 プロコフィエフの旅

例証4・3 抽象化の作家としてのベケット

 

訳者あとがき

人名索引

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[著者]スラヴォイ・ジジェク(Slavoj Žižek)

1949年スロヴェニア生まれ。哲学者。リュブリアナ大学社会科学研究所上級研究員。ロンドン大学バークベック人文学研究所インターナショナル・ディレクター。ラカン派精神分析とヘーゲル哲学を武器に、政治経済学批判において新たな地平を切り拓き、文学や映画をも縦横無尽に論じている。

[訳者]中山 徹(なかやま・とおる)

専門はイギリス文学。一橋大学大学院言語社会研究科教授。単著『ジョイスの反美学』(彩流社)のほか、『脆弱なる絶対』『操り人形と小人』『大義を忘れるな』『暴力:6つの斜めからの省察』『絶望する勇気』『真昼の盗人のように』(いずれも青土社)などスラヴォイ・ジジェクの翻訳を多数手掛ける。

[訳者]鈴木英明(すずき・ひであき)

専門はイギリス文学。昭和薬科大学教授。訳書にスラヴォイ・ジジェク『大義を忘れるな』『絶望する勇気』、ガヤトリ・スピヴァク『ナショナリズムと想像力』(いずれも青土社)などがある。