エビデンスの社会学

-証言の消滅と真理の現在-

松村一志 著

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エビデンスの社会学

定価3,520円(本体3,200円)

発売日2021年11月26日

ISBN978-4-7917-7432-6

「動かぬ証拠」が揺らぐとき
近代科学の歴史の中で精度を高め、確かさを増しながらも、絶えず捏造や誤謬に晒されてきた「科学的証拠」。法廷の証言、心霊研究から精密測定や定量化の成立、そして確率・統計に基づく「エビデンス」の出現に至るまで。気鋭の社会学者が、科学と非科学のあいだを揺れる「証拠」の概念史を通じて、近代という時代の輪郭を描きなおす。

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[目次]

はじめに 

序章 「言語論的転回」以後 
 1 実証主義と相対主義 
 2 「社会構成主義」のリミット 
 3 科学史と社会学のあいだ 
 4 真理の社会学 
 5 本書の構成 

第Ⅰ部 理論篇

第1章 社会構成主義とその射程 
 1 社会構成主義をどう評価するか?  
 2 科学的実在論と反実在論の対立点 
 3 社会学者の遂行的矛盾 
 4 「反-反実在論」という立場 
 5 否定と肯定のあいだ 
 6 〈構築主義〉の現在

第2章 システムとしての科学 
 1 ルーマンの科学論 
 2 反-反実在論としてのシステム理論 
 3 科学と非科学の線引き 
 4 「線引き問題」のシステム論的解決 
 5 「機能分化」という神話 

第3章 真理のゲーム 
 1 言説分析の発見 
 2 反-反実在論としての真理論 
 3 科学と社交 
 4 近代という問題

中間考察 真理の科学化 
 1 「機能分化」の問題点 
 2 真理の科学化 
 3 科学と法廷の系譜学

第Ⅱ部 歴史篇

第4章 証言と命題のあいだ
 1 近代科学の二つの顔
 2 一七世紀の地平線
 3 新しい「社会構成主義」
 4 裁判のレトリック
 5 二〇世紀の科学へ 

第5章 実験報告の書法 
 1 科学と非科学の境界線
 2 対象とその前史
 3 一九世紀の「線引き問題」
 4 証言の心理学
 5 奇跡の統計学
 6 「裁判のレトリック」の解体

第6章 測定の考古学
 1 人間の証言と事物の証拠
 2 二つの「科学革命」
 3 〈測定〉とは何か? 
 4 機械仕掛けの人間
 5 「裁判のレトリック」はなぜ消えたのか?

終章 「エビデンス」の時代
 1 「証言のゲーム」から「命題のゲーム」へ
 2 二次的な「証言のゲーム」
 3 「エビデンス」の誕生
 4 二一世紀の〈証拠〉

注 
あとがき 
参考文献 
索引

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[著者]松村一志(まつむら・かずし)
1988 年東京都生まれ。東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻相関社会科学コース博士課程修了。博士(学術)。現在、成城大学文芸学部マスコミュニケーション学科専任講師。専門は社会学・科学論。本作が初の著書。