〈トラブル〉としてのフェミニズム

-「とり乱させない抑圧」に抗して-

藤高和輝 著

  • はてなブックマークに追加
  • LINEでシェア
  • Google+でシェア
〈トラブル〉としてのフェミニズム

定価1,980円(本体1,800円)

発売日2022年2月4日

ISBN978-4-7917-7443-2

フェミニズムに賭けられているもの。
フェミニズムの歴史とは、「私たちとは誰なのか」を批判的に問うてきた歴史でもある。フェミニストとして語るあなたとは誰なのか。その語りはどんな場所からなされているのか。その語りからは誰が排除されているのか。「私たちが共にあること」はいかにして可能なのか。フェミニズムはもちろん一枚岩ではない。それでも、私にとってのフェミニズムとは、自己の、そして他者の〈トラブル〉に直面しながらその声に応答しようとしてきたフェミニズムである。
ジュディス・バトラーの『ジェンダー・トラブル』と、田中美津の「とり乱し」を架橋する、理論と実践の両面からの試み。

line2.gif

[目次]

序 〈トラブル〉としてのフェミニズム

第一部 〈トラブル〉の哲学

第一章 トラブルに未来はあるのか?
〈トラブル〉の反復
パンとしての未来
トラブルの未来

第二章 いまだ実現されていないもの
普遍のパラドックス
ヘーゲルのカント批判
〈いまだ実現されていないもの〉

第三章 実存とトラブル
『ジェンダー・トラブル』の「ゼロ章」
「身体的生」としての実存——サルトルからボーヴォワールへ
「自ら選択したのではない生の条件と闘うこと」

第二部 〈とり乱し〉のフェミニズム

第一章 「とり乱させない抑圧」に抗して——ジュディス・バトラーと田中美津
とり乱す身体
承認の規範、あるいは「とり乱させない抑圧」
「「とり乱す」ということを通じてつながっていくこと」

第二章 インターセクショナル・フェミニズムから/へ
インターセクショナリティ
ブラックフェミニズム
ポストコロニアル・フェミニズムとクィア理論
トランスフェミニズム

第三章 とり乱しを引き受けること
とり乱し
違和
「違和連続体」
「個人的なもの」

第四章 「フェミニズム」に賭けられているもの
「あいだに身を置く」
「「共通性」と「差異」のあいだの終わりのない往還」

参考文献
あとがき

line2.gif

[著者]藤高和輝(ふじたか・かずき)
1986年大阪府生まれ。大阪大学人間科学部卒業、同大学院人間科学研究科博士後期課程修了。同研究科助教を経て、現在、京都産業大学文化学部助教。専門は現代思想、フェミニズム、クィア理論、トランスジェンダー理論。ジュディス・バトラーの思想を研究の中心に据える。2018年に初の単著『ジュディス・バトラー――生と哲学を賭けた闘い』(以文社)を刊行、2019年に『身体を引き受ける――トランスジェンダーと物質性のレトリック』(ゲイル・サラモン著、以文社)を翻訳刊行。