不安の時代に、ケアを叫ぶ

-ポスト・コロナ時代の医療と介護にむけて-

川口有美子、新城拓也 著

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不安の時代に、ケアを叫ぶ

定価2,420円(本体2,200円)

発売日2022年2月19日

ISBN978-4-7917-7452-4

それでも、ケアを諦めない
「尊厳死」やトリアージはなぜ追求されるのか。誰のためのQOLとQODか。私たちは今、医療・介護の「常識」が揺さぶられる時代を生きている。命を終える最後の瞬間まで、「生きたい」を支える医療と介護をつくりあげるために、実践の現場から何を考えることができるのか。患者から、家族から、医者から、看護師から、そして介護士から……ケアの現場で放たれる声に耳を傾ける。臨床の前線から紡ぎだされる超一級のノンフィクション。

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[目次]

はじめに

第1回 揺れる倫理観の波
コロナ時代の倫理観の変化 
「もし〇〇になったら、どうするか?」 
内向きの病院とケアの質の低下
安楽死と緩和ケアはどう違うのか
顔の見えない医療従事者たちと「チーム医療」の現在
緩和ケア医になること、ケアラーを育てること 
ケアの質を保障する監査のあり方
記録=カルテをどう残すか 
日常のなかで死ぬこと、看取ること
痛みをとるとはどういうことか 
薬とどうつきあうのか 
コロナ時代の「知」 
意思決定をめぐる概念とその危うさ 
「生き方」を支えるための意思決定
オンライン/遠隔の医療・介護をめぐって 
迷いながら、考えながら、支援する

第2回 壊れていくケアの波
コロナ時代の入院と在宅医療をめぐるジレンマ
QOD(死の質)と看取りの現在
看取りのディテールと家族のケア
ルールよりも現場の直感で判断する
入院時のケアの質を考える
引導の渡し方/渡され方 
終末期医療と死のリアル
ワクチン接種以前に考えたこと
諦めないこと、努力し続けていること
コロナ時代の医療とその後への期待

第3回 現実のパンデミックの大波
変異株とクラスター発生時代に突入して
コロナ臨床の実態と孤立無援の救援部隊
非常時の医療とQOL(生の質)という考え方の変化
どう頼るのか、誰に頼るのか
現場から制度を変えるとき
隔離されるひとびとへのケア
病気の経験を積み重ねること

第4回 恐怖と混乱の波
コロナ臨床の前線からみえるもの
日常とともにある感染爆発
ワクチンを打つことをめぐる緩和ケア 
地域医療を訪問につなげる
できることをする医療 
医療の正しさと責任とはなにか 
コロナ禍で倫理が反転するとき
運、愛、善とケア 
コロナの「出口」とワクチンへの態度
緩和ケアを奪還する 
コロナ時代に得たもの/失ったもの 
患者・家族同士の出会いと交流 
ケアのつながりをつくる

第5回 冷静な反逆の波。そして、ケアを叫ぶ
感染の収束による変化
継続する「最低限のケア」 
ポスト・コロナの社会復帰を考える
病院と診療所の関係づくりのために 
介護・介助から学ぶ医療 
誰のためのQOL(生の質)とQOD(死の質)か
「いい死に方」は教えられない
倫理よりも患者の哲学を 
なぜ安楽死が望まれてしまうのか 
関係性をつくる緩和ケア
ポスト・コロナの社会と医療・介護にむけて

あとがき

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[著者]川口有美子(かわぐち・ゆみこ)
NPO法人ALS/MNDサポートセンターさくら会副理事長。立命館大学大学院先端総合学術研究科博士課程修了。全国規模でALSヘルパー養成研修事業及び介護派遣事業所の開設を支援している。単著に『逝かない身体』(医学書院、第41回大宅壮一ノンフィクション賞受賞)、『末期を超えて』(青土社)がある。共編著に『在宅人工呼吸器ケア実践ガイド』(医歯薬出版)、『見捨てられる〈いのち〉を考える』(晶文社)など。

[著者]新城拓也(しんじょう・たくや)
「しんじょう医院」院長。名古屋市立大学医学部を卒業後、緩和ケア病棟でのホスピス医としての勤務等を経て、2012年より現職。単著に『患者から早く死なせてほしいと言われたらどうしますか?』『超・開業力』(いずれも金原出版)、『がんと命の道しるべ』(日本評論社)がある。「NHKスペシャル」等メディアに多数出演。