現代思想2022年5月号 特集=インターセクショナリティ

-複雑な〈生〉の現実をとらえる思想-

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現代思想2022年5月号 特集=インターセクショナリティ

定価1,760円(本体1,600円)

発売日2022年4月28日

ISBN978-4-7917-1429-2

複雑に「交差」する抑圧に抗して
人種、階級、ジェンダー、セクシュアリティ、障害の有無……さまざまな要素が絡み合う社会の権力関係とそこに生じる差別や抑圧の複雑な現実を捉える概念として、いま急速に注目を集める「インターセクショナリティ」。本特集ではブラック・フェミニズムをはじめ、この概念が練り上げられてきた運動の歴史をひもとくとともに、現在進行形の広範な研究・実践の展開を追うことで、その重要性を多角的に検討したい。

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[目次]

 

特集*インターセクショナリティ――複雑な〈生〉の現実をとらえる思想


 

【討議】
インターセクショナルな「ノイズ」を鳴らすために / 石原真衣+下地ローレンス吉孝

【概念の原風景】
「私たち」のなかの勇気ある者――議論、懐旧、追悼 / 萩原弘子
この「生」から問う――ラディカリズムとしての交差性 / 新田啓子
複層的な交差点の時空間として捉える――クレンショー「人種と性の交差点を脱周縁化する」(一九八九)再読 / 根来美和+丸山美佳

【認識から実践へ】
「今度はインターセクショナリティが流行ってるんだって?」 / 森山至貴
インターセクショナリティと差別論――行為集合としての差別と社会集団 / 堀田義太郎

【現実、つまりは〈ここにいる〉こと】
ハンマーの共鳴性 / S・アーメッド/藤高和輝訳
ある離人感、シスジェンダー・ヘテロセクシュアル男性優位社会の延命装置としての戦争とは無縁の場所で……、 / 榎本櫻湖
どのように「女性」は定義されるべきなのか――分析フェミニズムにおける女性の定義問題とインターセクショナリティ / 西條玲奈
交差点へとアクセスする――障害者を〈抹消〉する物語に抗して / 辰己一輝
あなたが知るべきことと、わたしが書かないこと――薬物研究の認エピステモロジー識論 / 菊池美名子

【今この場所でいかに引き受けるか】
抵抗する知の創造――部落女性からの問い / 熊本理抄
ポスト証言の時代の日本軍性暴力研究――インターセクショナルな分析のために / 熱田敬子
日本型複合差別─試論――核をめぐるインターセクショナリティ / 山内明美
交差的な帰属――在日フィリピン母という経験 / 髙谷幸
心理支援の現場から見るマイクロアグレッションーー在日コリアンカウンセリング&コミュニティセンターの歩みから / 丸一俊介

【〈点〉から〈世界〉をひらく】
交差性(インターセクショナリティ)と階級概念をめぐる覚書 / 清水知子
「下品な神学」がめざすもの――マルセラ・アルトハウス= リードと交差性 / 工藤万里江
アナキズムと交差性――アナルコフェミニズム前史 / 海老原弘子
フェミニズムを脱植民地化する――フランスにおける「インターセクショナリティ」の困難と必要性について / 須納瀬淳
〈交差性〉を脱人間中心主義化する――エコフェミニズム再考 / 森田系太郎

 

【連載●タイミングの社会学●第一六回】
時間─空間の伸縮 下――強制撤去に抗する道路封鎖 / 石岡丈昇

 

【研究手帖】
経験と規範が交差する地点としてのフェミニスト制度論の構図 / 左髙慎也