触覚、 新装版

-ジャン=リュック・ナンシーに触れる-

ジャック・デリダ 著,松葉祥一、榊原達哉、加國尚志 訳

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触覚、 新装版

定価5,280円(本体4,800円)

発売日2022年5月27日

ISBN978-4-7917-7470-8

現代思想も陥る西洋哲学史の罠
アリストテレスから現代にいたる哲学が、触覚の直接性に基づく「直観主義」の罠に陥っている様を詳細に分析し、それを免れたナンシーの哲学の可能性をおし開く。現象学からドゥルーズを含むフランス現代思想全般を初めて批判的に論じ、その精神的背景としてのキリスト教=グローバリゼーションの脱構築を試みたデリダ晩年の哲学的著作。

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[目次]

前書き
「われわれの目が触れ合うとき」  (ある問いに署名すること――アリストテレスの)

第1部 これがあ――者の
第1章  プシュケ (「彼女をめぐって、きわめて厳密できわめて残酷な知をめぐって」)
第2章  空間化 = 間隔化  (通約不可能なもの、失神および ex- がついたいくつかの語)
第3章  これは私の身体である (すでにまったくない〔すでに点〕 ――対位法、プシュケーの喪、そして~の手)
第4章 触れえないもの、あるいは禁欲の誓い(並はずれたI、「可能事を越えた」接触、愛撫すること、殴打すること、思考すること、重さがあること、すなわちエロスの喪および~の別の手)
第5章  柔和なもの (これは私の心臓であり、「他者の心臓」である。)
第6章 無関係、「触覚『なるもの』はない」(触覚的なもの、身体のテクネーあるいはエコテクニー)

第2部 「肉」についての模範的な物語の数々
第7章  接線Ⅰ(「人間の複数の手、神の手」
第8章 接線Ⅱ(「例えば私の手」……「手そのもの」……「例えば指」……「例えば『私は自分の心臓を感じる』」)
第9章  接線Ⅲ (並はずれたⅡ、「不可能なものの結晶化」――「肉」と再度「例えば、私の手」)
第10章 接線Ⅳ(接触状態と偶然性――「技術の問題」と肉体の「アポリア」、「(結局のところ接触)」)
第11章 接線Ⅴ (接触状態と偶然性Ⅱ——「それによってわれわれに触れる『〈父なる神〉の慈しみ深い手』とは〈子〉のことである [……]、『御言葉つまり魂に触れる接触(toque de Dios…el toque que toca at alma)』」)

第3部 句読点――「そして君。」
第12章  「自らに触れる、君よ」  (触れること――舌に、心臓に)
第13章  「そして君へ。」計算できないもの (厳密さ、几帳面さ、句読法)

めでたし (最後の手直しがなく、時期を逸した追伸)
訳者後書き
新装版のための訳者後書き

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[著者]ジャック・デリダ(Jacques Derrida)

一九三〇年七月十五日アルジェ生まれの哲学者。高等師範学校卒業後、社会科学高等研究院などで教壇に立つ。フッサールの『幾何学の起源』への序文(青土社)以降、『グラマトロジーについて』(現代思潮社)、『友愛のポリティックス』(みすず書房)などによって、文学理論や法哲学などの領域にも影響を与えた。二〇〇四年十月八日膵臓ガンで死去。他の主な邦訳書に『ポジシオン』(青土社)、『エクリチュールと差異』『法の力』(以上、法政大学出版局)、『声と現象』(ちくま学芸文庫)などがある。