姫路回想譚

-ある戦後史の断面-

池内了 著

  • はてなブックマークに追加
  • LINEでシェア
  • Google+でシェア
姫路回想譚

定価2,200円(本体2,000円)

発売日2022年11月24日

ISBN978-4-7917-7515-6

私的体験と時代が交叉する、唯一無二の回想録
池内少年が暮らした姫路市・新在家村。バブル期の開発により村が高級住宅街へと変貌を遂げるよりもずっと前。大きな仏壇がある家の座敷には、天皇・皇后の写真と戦死した息子たちの写真が掲げられ、戦時の記憶がそのまま漂っている、そんな時代。静謐な筆致で、歴史になる過程で取りこぼされてしまう、一つひとつの、あるいは一人ひとりのアウラをすくいとる。

line2.gif

[目次]

はじめに

第1章 姫路――わが家の来歴
新在家村 わが家の肖像 わが家の短い歴史 わが家の人びと 私たち一家の年表 通った学校 「ふるさと」 私の家事手伝い 米作りの一部始終
 

第2章 家族――幼い頃のよしなしごと
父の残像 養子物語 字を覚える ラジオ放送 母との食事 ミシン泥棒 スイカ 仏壇の前 母を踏む 食中毒 七夕 柿盗人 村祭り 時計 小遣い稼ぎ 父兄会 四つ池の夏 紙芝居 甲子園 兄を探して 中二階の青春 「何が彼女をそうさせたか?」


第3章 小さな邂逅――私的体験の記録
魚屋の呼び込み 演劇体験 柔道大会 弁論大会 スリとの遭遇 肥桶担ぎ
 

第4章 戦後民主教育――小中学校の先生たち
相田先生 K先生 藤田先生 大脇先生 広瀬先生
 

第5章 友誼――出会った少女たち
ちよゑ まきこ(金真起) 淑子 ある転校生 優子 友子
 

第6章 哀悼――二人の兄と母へのオマージュ
長兄の卓 次兄の紀 母へのオマージュ
 

おわりに

line2.gif

[著者]池内 了(いけうち・さとる)
1944年、兵庫県生まれ。総合研究大学院大学名誉教授、名古屋大学名誉教授。専門は宇宙論、科学技術社会論。『お父さんが話してくれた宇宙の歴史(全4冊)』(岩波書店)で産経児童出版文化賞JR賞、日本科学読物賞を、『科学の考え方・学び方』(岩波ジュニア新書)で科学出版賞(講談社)、産経児童出版文化賞推薦を、『科学者は、なぜ軍事研究に手を染めてはいけないか』(みすず書房)で毎日出版文化賞特別賞をそれぞれ受賞。そのほかの著書に『宇宙研究のつれづれに』、『清少納言がみていた宇宙と、わたしたちのみている宇宙は同じなのか?』(以上、青土社)などがある。