消費者をケアする女性たち

-「ヒーブ」たちと「女らしさ」の戦後史-

満薗勇 著

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消費者をケアする女性たち

定価2,420円(本体2,200円)

発売日2022年12月23日

ISBN978-4-7917-7527-9

仕事も、家事も、育児、介護も……頑張りつづけた女たちの格闘の軌跡
「女性目線」を活かしてつくられた大ヒット商品、超人気サービスの裏には、実は「ヒーブ」と呼ばれる人びとの活躍があった。戦後日本社会はいかにしてケアを売り買いできるものに変えたのか。男女雇用機会均等法の制定前夜に注目した、知られざる「女性活躍」の歴史。

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[目次]

序論 戦後史のなかのヒーブ
1 「ヒーブ」とは何か
2 ケアの視座からみたヒーブ
3 日本型雇用とケアのジェンダー化
4 女性就業とケアの戦後史
5 本書の方法と構成

第1章 消費者問題の展開とヒーブの成立
1 消費者問題の歴史的展開
2 HEIBの先駆的紹介
3 日米HEIB会議の開催
4 日本ヒーブ連絡協議会の結成
5 日本家政学会の動向

第2章 先駆者たちのライフヒストリー
1 篠崎悦子(東京電力)
2 落合良(ソニー)
3 山内志津子(資生堂)

第3章 日本ヒーブ協議会の組織と活動
1 協議会組織の性格
2 会員の実態とその推移
3 協議会活動の展開
4 「働く女性」の焦点化

第4章 ヒーブにとっての仕事とケア
1 社内における「ヒーブ」の位置づけ
2 仕事の満足度と管理職への意欲
3 ケアに対するヒーブの意識
4 商品開発におけるヒーブの仕事
5 消費者対応におけるヒーブの仕事

第5章 ヒーブにとっての子育て経験
1 「1・57を考える研究会」の問題意識
2 仕事と職場をめぐる悩みと対策
3 保育所をめぐる悩みと対策
4 家族と家庭をめぐる悩みと対策
5 働く母親への「応援歌」

結びにかえて
1 ヒーブ(HEIB)の日本的展開
2 ワーク・ライフ・バランスへの問い
3 消費者のケアとそのゆくえ

あとがき

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[著者]満薗 勇(みつぞの・いさむ)
1980年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。日本学術振興会特別研究員、立教大学講師などを経て、現在北海道大学大学院経済学研究院准教授。専攻は日本近現代史。著書に『日本型大衆消費社会への胎動』(東京大学出版会)、『商店街はいま必要なのか』(講談社現代新書)、『日本流通史』(有斐閣)がある。