ユリイカ2023年2月号 特集=エゴン・シーレ

-戦争と疫禍の時代に-

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ユリイカ2023年2月号 特集=エゴン・シーレ

定価1,760円(本体1,600円)

発売日2023年1月27日

ISBN978-4-7917-0427-9

「レオポルド美術館 エゴン・シーレ展——ウィーンが生んだ若き天才」(東京都美術館)開催記念

19世紀末から20世紀初頭、そのまさに終わりと始まりをのみ生きたシーレの生涯は戦争と疫禍のうちに閉じられた。ある芸術家の生はある時代のものとはかぎらない、遡行的にえぐり出され、わが身の仏きとしてあるいは歪みとして引き受けられる。シーレの生とはなんであったのか、芸術はいかに生きられるのか、美学の手前にある生の技法が問い返されている。

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[目次]

特集*エゴン・シーレ――戦争と疫禍の時代に

 

❖鼎談
プリズムとしてのエゴン・シーレ / 小林明子 古川真宏 河本真理

❖シーレという詩
断章エゴン・シーレ / 水沢勉
石は何を叫ぶのか――エゴン・シーレ / 鈴木創士
絵画の反=因襲的瞬間 / 阿部真弓

❖絵画の瞬間
シーレに関するフラグメント / 楠本まき
エゴン・シーレについて / 板垣巴留

❖侵襲としての絵筆
シーレのドローイング――displayと妖しい速度 / 村山悟郎
写実主義の超克と素描のまなざし――エゴン・シーレの素描についての対話 / 石川卓磨
震えるエゴン・シーレ――シーレのクィアネスとレズビアン的なものを描いた画家たち / 近藤銀河

❖シーレに導かれて
エゴン・シーレと人形と私 / 宮崎郁子
たった三年前の話 / 藍にいな

❖シーレ・オルタナティヴ
受肉するシーレ / 岡田温司
シーレの「プリミティヴィスム」――タイムマシンとしての民芸 / 福間加代子
シーレとクリムト、「装飾」をめぐって / 三井麻央
ウィーンの亡霊――描かれなかった女性たちとともに / 丸山美佳

❖裸体による相克
〈ネイキッド・ポートレイト〉の黎明――男性がまなざす裸体の自我 / 香川檀
皮剥ぎとしての描画、あるいは見ることの劫苦(アゴニー) / 小澤京子
描かれた身体と作られた身体――エゴン・シーレと人形 / 三枝桂子

❖シーレの出会い損ない
リルケがシーレを観たとしたら / 神品芳夫
シーレとヴィトゲンシュタイン――接点なき接点 / 諸隈元

❖精神の淵より
「未完の家族」と摂食障害 / 信田さよ子
エゴン・シーレの病跡学――「不可能なもの」との関係を拓く / 牧瀬英幹
シーレとトラークル――自我と色彩の表現をめぐって / 益敏郎

❖〈肉〉を読む
エゴン・シーレのパッション / 黒木秀房
「肉体という不完全な容器」と両義的な身ぶり――シーレとクロソウスキー / 須田永遠
シーレのエロティシズム / 井岡詩子

❖永遠の子供
エゴン・シーレ主要作品解題 / 金田佳子

 

❖忘れられぬ人々*16
故旧哀傷・都留晃 / 中村稔

❖物語を食べる*24
食べない女の神話学よ、さらば / 赤坂憲雄

❖詩
170-6060 / 鎌田尚美

❖追悼*吉田喜重
思い出、揺れ動く / マチュー・カペル
運転席の女、助手席の女 / 木下千花

❖今月の作品
五十嵐雨・奥山紗英・東堤翔大・渡辺八畳 / 選=大崎清夏

❖われ発見せり
すこしさきで息をとめてみる / 奥泉理佐子

 

表紙・目次・扉=北岡誠吾
表紙図版=エゴン・シーレ《背を向けて立つ裸体の男》 1910年 グワッシュ、木炭/紙
個人蔵 Leopold Museum, Vienna
「レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才 Egon Schiele from the Collection of the Leopold Museum – Young Genius in Vienna 1900」出品作品より
東京都美術館 2023年1月26日[木]─ 4月9日[日]