奴隷と家畜

-物語を食べる-

赤坂憲雄 著

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奴隷と家畜

定価2,640円(本体2,400円)

発売日2023年4月24日

ISBN978-4-7917-7546-0

生きるために、捕って、殺して、わたしたちは食べる。
食べるために、作物を栽培し、家畜を飼育し、人を奴隷にする。〈食べるひと〉ははてしない謎を抱いている。誰ものぞこうとしなかった意識の森深くへと、異端の民俗学者が下りてゆく。物語を食べ散らかすような、不遜にしてスリリングな旅。

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[目次]

第一章
胃の腑と詩と官能のあいだ
憑依と観想から擬人法へ
獣たちの九相図と出会う
家畜たちは荒野をめざす
新しい動物文学の誕生

第二章
奴隷農場は愛とともに昏れて
猿の惑星からの伝言
人力車には植民地の影が射す
家畜人は知性ある猿だ(上)
家畜人は知性ある猿だ(下)

第三章
自己家畜化と道徳の発生
奴隷化、いじめの政治学へ
家畜と奴隷と資本主義
愛と痛みと恐怖が運命をひらく
労働という苦役からの解放

第四章
フォアグラ的な肥満のはてに
臓器提供者のいまわの恋
残されし人々の帰還
代理母は卵の夢にうなされて

第五章
二本足の豚たちが動物農場をゆく
豚は知性的な生き物である
三匹の豚はいま、どこへ
豚を飼う、豚を喰らう

終章
奴婢訓の裂け目に

あとがき

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[著者]赤坂憲雄(あかさか・のりお
1953年、東京生まれ。学習院大学教授。専攻は民俗学・日本文化論。『岡本太郎の見た日本』でドゥマゴ文学賞、芸術選奨文部科学大臣賞(評論等部門)受賞。著書に『異人論序説』(ちくま学芸文庫)、『境界の発生』『東北学/忘れられた東北』(講談社学術文庫)、『岡本太郎の見た日本』『象徴天皇という物語』『排除の現象学』(岩波現代文庫)、『武蔵野をよむ』(岩波新書)、『性食考』『ナウシカ考』(岩波書店)、『民俗知は可能か』(春秋社)、『災間に生かされて』(亜紀書房)など多数。