フッサール 志向性の哲学

富山豊 著

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フッサール 志向性の哲学

定価2,420円(本体2,200円)

発売日2023年3月25日

ISBN978-4-7917-7542-2

経験の本性へ――。
〜について思い出す、〜に対して愛憎を抱く、〜を欲する、〜であると信じる、〜と想像する…、わたしたちの心の動きは決してそれ自体では成立せず、必ずなんらかの対象に向かっている。わたしたちの経験の核にある対象への向き=「志向性」とはいかなるものか。分析哲学・論理学の哲学者たちの思想を補助線に、「生」と「知」の交差するフッサールの画期的な概念をていねいに紐解く、唯一無二の入門書。

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[目次]

序 章 経験する「生」の本性としての志向性
第一節  人は「何か」を経験せずに生きてはいけない
第二節  志向性の哲学者 フッサール
第三節  経験される「何か」は経験から必ずズレていってしまう
第四節  それでもその「何か」は経験をつなぐ
第五節  本書の狙いと構成
 

第一章 志向性の謎――思考が何かについてのものであるとはいかなることか
第一節  志向性と「対象」の関係
第二節  「対象」は必ず存在するのか
第三節  何が思考をその「対象」に結びつけるのか
第四節  イメージ・因果関係と志向性
第五節  不在の「対象」について思考できるのはどのようにしてか
第六節  「対象」は心の中の像にすぎないのか
 

第二章 志向性と真理――真偽に関与するものとしての「対象」
第一節  フレーゲの意味論
第二節  真理値ポテンシャルあるいは意味論的値
第三節  構文論と意味論
第四節  形式言語
第五節  志向性の問題を意味論的値でどう考えるのか
第六節  フッサールの「志向性」は本当に意味論的な概念なのか
 

第三章 意味と対象――我々はどのように「対象」への関わりを手にするのか
第一節  意味論的値の不確定性
第二節  無対象表象の問題は解決したのか
第三節  フッサールにおける「意味」の概念
第四節  意味の想像イメージ説
第五節  可能世界による「意味」解釈
第六節  フレーゲの「意義」概念とフッサールの「意味」概念
第七節  志向性の謎はどのように解かれたのか
 

第四章 意味と作用――意味は心の中にあるのか
第一節  ハンプティダンプティ理論という嫌疑
第二節  素質としての把握と出来事としての把握
第三節  意味のイデア性
第四節  イデア的なものをリアルな世界に呼びだすこと
第五節  フッサールのプラトニズムと「対象」概念
 

終 章 「現象学」は何をするものだったのか
 

付論と読書案内
あとがき
参考文献
索引

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[著者]富山 豊(とみやま・ゆたか)
1981年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。専門はフッサール現象学。現在、東京大学大学院人文社会系研究科研究員。共著に『現代現象学:経験から始める哲学入門』(新曜社)、論文に「現象学は外在主義から何を学べるか」(『哲学』第68号)、「フッサール初期時間論における過去の構成と過去の実在性」(『現象学年報』第31号)などがある。