歯車にならないためのレッスン

森達也 著

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歯車にならないためのレッスン

定価2,420円(本体2,200円)

発売日2023年4月26日

ISBN978-4-7917-7551-4

群れ、馴れ、そして個を失ったこの国で。
政権の暴走、死刑の黙認、匿名の誹謗中傷——根源にあったのは「集団化」だった。一人称単数を徹底して貫き、倦むことなく違和感を表明してきた、ゆるぎない思考の記録。

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[目次]

まえがき

2017 煽られる危機
共謀罪という詭弁
北欧で感じた日本の未成熟
戦争の燃料は「自衛意識」
分断と統合を煽る国
危機意識の相似形
議論よりも沈黙を選ぶ国

2018 「馴れ」の果て
朝鮮学校が映す分断
メディアから中国を変える
失った寛容さで「安心」は得られるのか
「放送禁止歌」が現代に問いかけるもの
公文書改竄の根本にあるもの
「分断の線」を踏み越える
ニュースが映さない現実
麻原の死刑執行が残した禍根
それでも麻原を治療して、語らせるべきだった
麻原は世界から消えた
戦場ジャーナリストの使命
誰が何を「政治的」とみなすのか

記録の余白1——オウムの死で日本は救われたか

2019 個を欠いた社会
社会を映す「国語」教育
高江と辺野古、忘却に抗う
世界中で立ち上がる調査報道
ストリートミュージシャンのいない街
「不謹慎」という名の同調圧力
黒スーツに埋没する個
天皇制と穢れ思想
映画『主戦場』から日本の右派を考える
ピースボートから見た景色
パレンケ村の平和主義
座右の銘はネガティブ志向
新作映画『i - 新聞記者ドキュメント -』
匿名に身を隠すな

記録の余白2——安易に白黒をつけてはならない

2020  自ら従う人びと
インフレを起こす「テロリズム」
複数形の正しさに向き合う
報道の自由度トップの国で
地下鉄サリン事件の禍根
賭け麻雀報道、問題の本質は
福田村事件と「自粛警察」の共通点
笹の葉模様の弁当箱
風に抗わない人たち
一人、足りない

記録の余白3——Black Lives Matter を他山の石にする

2021  上滑りすることば
「国民のために働く内閣」
コロナ後の世界は成熟しているか
『311』から一〇年
この国に染みついたジェンダー意識
死刑をめぐる世論の現在地
僕たちは傍観者ではいられない
言葉の劣化は政治の劣化
現代の「市中引き回し」
加害者家族の人権を護る
削ぎ落とされる言葉の機微
七〇年目の名誉回復
未解決の学術会議問題

記録の余白4——人は無抵抗の人を絶対に殺すべきではない

2022  ゆらぐ正義身震いするテレビの自画像
高校演劇の現場からのSOS
こんな時代だからこそ
NHK字幕問題への違和感
複眼で見るロシアの武力侵攻
都合の悪い歴史を知ること
連合赤軍、五〇年後の記憶
元首相襲撃はテロなのか
「美しい国」の由来
福田村の夕焼け
排除ベンチのない国
「飛翔体」から「弾道ミサイル」へ
卑怯なコウモリ

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[著者]森達也(もり・たつや)
映画監督・作家。1956年、広島県生まれ。1998年、オウム真理教のドキュメンタ リー『A』を発表。2001年、続編『A2』が山形国際ドキュメンタリー映画祭で特別賞・市民賞を受賞。その他の監督作品に、『FAKE』、『i -新聞記者ドキュメント-』(第94回キネマ旬報ベスト 10(文化部門)1位)など。『A3』(集英社文庫、第33回講談社ノンフィクション賞)、『U 相模原に現れた世界の憂鬱な断面』(講談社現代新書)、『千代田区一番一号のラビリンス』(現代書館)など、著書多数。関東大震災後に起きた虐殺事件を題材にした劇映画『福田村事件』が2023年晩夏に公開予定。