毒殺の化学

-世界を震撼させた11の毒-

ニール・ブラッドベリー 著,五十嵐加奈子 訳

  • はてなブックマークに追加
  • LINEでシェア
  • Google+でシェア
毒殺の化学

定価2,640円(本体2,400円)

発売日2023年7月26日

ISBN978-4-7917-7573-6

ヒ素、トリカブト、ストリキニーネ、青酸カリ、インスリン、ポロニウム……
毒が命を奪うとき、体の中では何が起こっているのか?
古今東西、様々な物質が毒殺に用いられ、毒はフィクションでも現実世界でも人々の関心を引きつけてきた。実際の毒殺事件に用いられた11の物質を紹介し、毒がいかにして私たちの息の根を止めるのかを明らかにする。犯罪と化学、医学を掛け合わせたスリリングな科学ノンフィクション。

line2.gif

[目次]

パート1 死を招く生体分子

第一章 インスリンとバーロウ夫人のバスタブ
特効薬から、殺しの道具へ バーロウ夫人のバスタブ 「たったひとさじの砂糖で……」 インスリンと血糖値 インスリン・ショックと、エリザベス・バーロウの症状を読み解く手がかり 家宅捜索 痙攣するマウスと眠りに落ちたモルモットが、ケニス・バーロウの有罪を証明 インスリン殺人

第二章 アトロピンとアレクサンドラのトニック
薬用植物 スープとスパーク ジンと殺害計画 市場の大混乱 アトロピンはどう命を奪うのか ブキャナン医師と、マダムと、死んだ猫 ソールズベリーで起きた、ロシアの元スパイ暗殺未遂事件 古代の毒薬から現代の解毒剤へ

第三章 ストリキニーネとランベスの毒殺魔
透明人間、サイコ、シャーロック・ホームズ ストリキニーネの物語 ランベスの毒殺魔 ストリキニーネはどう命を奪うのか ストリキニーネ中毒の治療法

第四章 トリカブトとシン夫人のカレー
トリカブトの歴史 完璧な殺人 ドクター・ラムソンのダンディーケーキ アルカロイドの問題 トリカブトはどう命を奪うのか トリカブトとシン夫人のカレー

第五章 リシンとゲオルギー暗殺事件
第一研究所 ヒマの種の話 死を招いた真実 ゲオルギー・マルコフの暗殺 死のペレット リシンはどう命を奪うのか 誰がゲオルギー・マルコフを殺したのか? 死のリタイアメント・プラン 治療薬としてのリシン

第六章 ジゴキシンと死の天使
ジゴキシンとジギタリスの物語 死の天使 調剤マシンの悪用 カレンの逮捕 傷ついた心臓(ブロークン・ハート)の問題 ジゴキシンの薬効と命を奪うしくみ ジゴキシンと一億ドルの絵画 ジゴキシン中毒の解毒剤

第七章 シアン化合物とピッツバーグの大学教授
最も有名な毒 シアン化合物と顔料 食品に含まれるシアン化合物 電信ケーブルに首をくくられる シアン化合物はどう命を奪うのか アレゲニー川での死 シアン化合物中毒の治療 シアン化合物と放火魔

 

パート2 土壌由来の死の分子

第八章 カリウムと悪夢の看護師
身体に不可欠な毒 カリウムとグランサムの悪夢の看護師 過剰なカリウムはどう命を奪うのか シャーウッドの惨殺事件 放射能をもつ身体

第九章 ポロニウムとサーシャの無差別な腸
十分な金属を摂取しているか? ポロニウムの歴史 エドウィン・カーター事件 無差別な腸 メイフェアの暗殺事件 ほぼ検出不能な毒 放射線と腸 誰がリトヴィネンコを殺したのか?

第一〇章 ヒ素とムッシュー・ランジェリエのココア
ヒ素の歴史 アーセニック・イーター――ヒ素を食らう人々 ヒ素とムッシュー・ランジェリエのココア ヒ素はどう命を奪うのか マーシュとヒ素の検出 療法としてのヒ素

第一一章 塩素とラフキンの殺人看護師
化学兵器 塩素はなぜ有毒なのか 恩恵をもたらした塩素 漂白剤による死 静脈内の漂白剤 死を招くレモネード

結び 死神の楽園

付録 お好きな毒を
謝辞
原註
参考文献

訳者あとがき 

line2.gif

[著者ニール・ブラッドベリー(Neil Bradbury)
ロザリンド・フランクリン医科学大学教授。セント・アンドリューズ大学と、ウェールズ大学医学部を卒業し、生化学と医療生化学の学位を取得。本書が初の著書となる。

[訳者五十嵐加奈子(いがらし・かなこ)
翻訳家。東京外国語大学卒業。主な訳書に、ローラ・カミング『消えたベラスケス』、エドワード・ウィルソン=リー『コロンブスの図書館』(以上、柏書房)、デボラ・ブラム『毒薬の手帖』、リー・メラー『ビハインド・ザ・ホラー』(以上、青土社)がある。