ユリイカ2023年9月号 特集=ヤマシタトモコ

-『くいもの処 明楽』『HER』『ひばりの朝』『さんかく窓の外側は夜』、そして『違国日記』へ-

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ユリイカ2023年9月号 特集=ヤマシタトモコ

定価1,760円(本体1,600円)

発売日2023年8月28日

ISBN978-4-7917-0436-1

『違国日記』完結記念
ヤマシタトモコが描く人と人は、分かり合えず、傷つき合い、打ちのめされることを繰り返す。それでもと垣根を超えようとして他者へと手を伸ばす愚直な登場人物の姿は、時にエンパワメントとして、時に社会への問いかけとして、人の心を駆動するメッセージへと展開する。長期連載となった『違国日記』の完結に際して、これまでの鮮烈なマンガ表現の数々を振り返り、そのメッセージに応答していく一大特集。

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特集*ヤマシタトモコ――『くいもの処 明楽』『HER』『ひばりの朝』『さんかく窓の外側は夜』、そして『違国日記』へ
 

❖対談
私たちは手を繋ぐ / ヤマシタトモコ×高野ひと深

❖物語を手渡す
黎明を見たあなたへ――ヤマシタトモコ『違国日記』 / 岩川ありさ
かつての少女たちへ / 横田祐美子

❖紡ぎ直される言葉
名前のないものに名前をつける。たとえば〝違国〟と。 / 桜庭一樹
二人の距離とひろがる世界 / 瀬田なつき
それぞれの違国、そして夜明けに / 文月悠光

❖他者とかかわること
綻びという希望――『違国日記』におけるコミュニケーション / 三木那由他
「ふつう」から降りた男(たち)――笠町信吾は「理解のある彼くん」なのか? / 木津毅
フレームの向こうへ――四角い「日記」、「違国」への入り口 / 陰山涼

❖インタビュー
それでも描くということ / ヤマシタトモコ 聞き手=瀬戸夏子

❖イラストギャラリー
あの人との思い出・死闘篇 / 今井哲也
出会いはコンビニに平置きされていた「BUTTER!!!」が表紙の『アフタヌーン』 / 芥見下々
家宝 / 紗久楽さわ
わたしの灯台 / ダヨオ
ヤマシタさんお久しぶりです / ねむようこ
拝啓 ヤマシタトモコ様 / コナリミサト
『HER』の花河まみと本美優について / 冬野梅子

❖言葉と身体とわたしの所在
ひばりと朝――『ひばりの朝』における救済の可能性をめぐる不正義と希望について / 黒木萬代
内言のない会話劇――「日記」以前としての『BUTTER!!!』 / 細馬宏通
うつくしい森の魔女たち――ミラーボールの魔法によせて / 向後恵里子
ヤマシタトモコ作品のレズビアン的な欲望――女性間の欲望はポストフェミニズムを乗り越えるのか? / 近藤銀河
「まざり合い」の関係性――『WHITE NOTE PAD』におけるクィアな「同じさ」をめぐって / 古怒田望人/いりや

❖再録
THE ABSENCE OF GOD / ヤマシタトモコ

❖ともにある矜持
私たちは滅んでもいい / 琴柱遥
運命のカンパネラ / 高野麻衣
声と線をつなげる心 / 小林ゆう

❖破綻した愛の行先へ
二〇〇〇年代のボーイズラブとヤマシタトモコ――物語とキャラクターのコードの分析 / 石川優
やがて来る朝について――ヤマシタトモコ作品とディスコミュニケーション / 水上文
「恋愛のコード」からはみ出す物語――『イルミナシオン』論 / いなだ易
夜をクィアする/夜がクィアする / 青本柚紀

❖資料
ヤマシタトモコ全単行本解題 / 山本文子+横井周子


❖忘れられぬ人々*23
故旧哀傷・マーティン・フリート / 中村 稔

❖物語を食べる*31
新しい火を盗んだ男の物語 / 赤坂憲雄

❖詩
箱に名前をつけること / 青木風香

❖今月の作品
のもとしゅうへい・木下多尾・赤澤玉奈・のらいしれんふう / 選=大崎清夏

❖われ発見せり
拝啓R / 長尾優希


表紙・目次・扉=北岡誠吾
表紙イラスト=ヤマシタトモコ