定価3,080円(本体2,800円)
発売日2024年11月26日
ISBN978-4-7917-7682-5
レヴィナス思想のまだ見ぬ広がりを照らし出す
人間と人間ならざるものを分かつ「紙一重の差異」に目を凝らし、脆い存在としての人間を描き出した哲学者、レヴィナス。食べる、老いる、ケアするといった日々の経験や、ロボットや動物をめぐる問題にまでひらかれたその強靭な思索を、気鋭の研究者が鮮やかに読み解く。
[目次]
はじめに
0 〈他者の倫理〉とは別のしかたで
第1章 レヴィナスと〈ポストモダン〉
第2章 デリダはレヴィナス化したのか
第3章 顔のない正義
1 聞く、読む、集う——音と声をめぐって
第4章 読書会の存在論——レヴィナス読書会の余白に
第5章 ナンシーとレヴィナス——sensについて
2 生まれる、愛する、触れる——人間と非人間のあいだで
第6章 顔の倫理のジレンマ——動物とロボット
第7章 人型ロボットは愛することができるか——キューブリック/スピルバーグ『A. I.』論
第8章 遠隔と接触——リモート時代における「顔」
3 食べる、老いる、ケアする——身体のままならなさについて
第9章 ケアと福祉——応答から身代わりへ
第10章 「食べること」と「老いること」
むすびに代えて——顔の向こうに
註
初出一覧
人名索引
[著者]渡名喜庸哲(となき・ようてつ)
1980年、福島県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。パリ第7大学社会科学部博士課程修了。現在、立教大学文学部教授。専門は現代フランス哲学、社会思想。主な著書に『レヴィナスの企て——『全体性と無限』と「人間」の多層性』(勁草書房、2021年、表象文化論学会学会賞受賞)、『現代フランス哲学』(ちくま新書、2023年)。『レヴィナス著作集』(法政大学出版局、2014年−)、サロモン・マルカ『評伝レヴィナス——生と痕跡』(慶應義塾大学出版会、2016年)など、レヴィナスに関する著作の翻訳も多数。