哲学の問題とはポイントの問題である

-ウィトゲンシュタインの中心概念を読む-

谷田雄毅 著

  • はてなブックマークに追加
  • LINEでシェア
  • Google+でシェア
哲学の問題とはポイントの問題である

定価2,640円(本体2,400円)

発売日2024年12月25日

ISBN978-4-7917-7687-0

ことばが生活と噛み合うとき
ことばは、生活と噛み合うことではじめて意味をもつ。しかし生活とことばが噛み合うとはどういうことか。あるいは生活と噛み合わないことばはどのようなものになってしまうのか。わたしたちの言語ゲームにはあって、言語ゲームもどき(くずれ)に欠落しているもの。それを捉えようとしたウィトゲンシュタインの「ポイント」概念に精緻に分け入りながら、わたしたちとことばの関係を解きほぐす。

line2.gif

[目次]

はじめに

1  ものの見方という概念――国境線と地平線
2  ウィトゲンシュタインという哲学者
3  人類学としての哲学――異なった星からの訪問者の視点
4  哲学の問題とはポイントの問題である
5  本書の構成


第Ⅰ部 意味とポイント

第1章 言語ゲームにはルールのほかにポイントがある
1  ふたつのフットボール
2  目的と生活形式――言語ゲームのポイントはどのように理解されてきたか
3  エルツの目的解釈
4  言語ゲームのポイントとは何か

第2章 意味とはことばのポイントのことである
1  Miss/Get the point
2  意味概念はどのような機能を果たすのか
3  同じことばが別の使用ルールをもつ
4  同じことばが別のポイントをもつ

第3章 哲学の問題とはポイントの問題である
1  ポイントは差異を確保する
2  ことばには使い方とは別の意味がある
3  哲学の問題とはポイントの問題である


第Ⅱ部 心とアスペクト

第4章 ふりとは生活という織物のなかのパターンである
1  行動主義は何を区別できないか
2 「ふりをする」に適切な場所を確保する――織物の比喩
3  心的/物的の区別――ゲームに内在する不確実性


第5章 ことばの使用には不確実性が存在するのでなければならない
1  概念の不確実性とはどのような問題か
2 「規準」概念解釈
3  心的概念の不確実性

おわりに

付録A 他動詞的理解と自動詞的理解
付録B アスペクト転換とアスペクトの閃き

あとがき

参考文献

事項索引/人名索引

line2.gif

[著者]谷田雄毅(たにだ・ゆうき)
1987年宮城県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。専門は哲学、とくにウィトゲンシュタイン。現在、駒澤大学、埼玉大学、大正大学等非常勤講師。最近の論文として“Rule and Point: What function does the concept of “meaning” serve?” (The Review of Analytic Philosophy, 3(1), 2023)、「後期ウィトゲンシュタインにおける、言語ゲームの「ポイント(Witz)」概念の位置づけ――アスペクト概念との比較を通じて」(『哲学』73号、2023年)、「心的概念の不確実性の問題――ウィトゲンシュタインの「心理学の哲学」の観点から」(『科学基礎論研究』49巻1号、2021年)など。