定価3,080円(本体2,800円)
発売日2025年2月19日
ISBN978-4-7917-7696-2
思想家のもう一つの顔
初期の、旺盛に文学論を発表する思想家としての顔を捨て、文学から離反したかに見えた後期にも、フーコーは、読む者を、そして書く者を変容させる経験にフォーカスしながら、広い意味での〈文学〉の可能性を模索しつづけた。見落とされてきたフーコーと文学のあいだの接点を、その生涯にわたって丹念にあとづけた意欲作。
[目次]
序論
第一部 言語そのもののほうへ——六〇年代文学論
第一章 書物、図書館、アルシーヴ——フーコー文学論の問題圏
第二章 語るのは語それ自体である——鏡としてのマラルメ
第三章 模倣としての翻訳、侵犯としての翻訳——クロソウスキーの波紋
第四章 フーコーはいかにしてレーモン・ルーセルを読んだか
第二部 自己の変容、文学の変容——七〇年代以降の文学論
第五章 微粒子たちの軌跡——境界線上の「ヌーヴェル」
第六章 真理の劇場——フーコーと「演劇」
第七章 文学と自己変容——「経験」としてのフィクション
結論
あとがき
文献一覧
事項索引
人名索引
[著者]柴田秀樹(しばた・ひでき)
1987年広島県生まれ。京都大学大学院文学研究科文献文化学専攻博士後期課程修了。博士(文学)。専門はミシェル・フーコーを中心としたフランス文学・思想。現在、追手門学院大学、関西学院大学、京都大学、滋賀短期大学で非常勤講師を務める。主な論文に「ミシェル・フーコーとマラルメ」(『フランス語フランス文学研究』116号、2020年)、「フーコーはいかにしてレーモン・ルーセルを読んだか」(『フーコー研究』岩波書店、2021年)、「作家になりそこねた男」(『ユリイカ』2023年1月臨時増刊号)など。