定価3,960円(本体3,600円)
発売日2025年6月11日
ISBN978-4-7917-7708-2
たとえ哲学ではないとしても、それはそれでかまわないのだが、それでも何であれ哲学になる。
「好きな書き物を、好きなように」書き続けてきたらそれは哲学になったと語る著者は、つねに哲学を更新し続ける。「現実を知っている」とはどういうことか? 誰もが抱く疑問の先には、最高難度の哲学的探究が待っている。
[目次]
はじめに
序章 問いを問うを問う
1 問いを問う、歌を歌う、舞を舞う
2 「問いを問う」の双面性
3 「問いを問う」の展開
4 真偽から意味へ/意味から真偽へ
5 可能性の「開閉」と真偽の「振動」
6 「呼吸」としての中間
7 出来事と行為、あるいは受動と能動
第1章 「離別と死別」の伏線はどのように回収されるのか
1 離別と死別
2 同じか? 違うか?
3 現実と可能
4 循環あるいは矛盾
5 エピソードの子どもは、十分に「子ども」か?
6 「否定」混入という不十分さ
7 「可能性」混入という不十分さ
8 可能性ではなく潜在性
9 潜在性による「子ども」の反論
第2章 現実性の円環モデルによる「創発」試論
序 創発を「斜めから見る」
1 動的な中間としての強い創発
2 無への創造(無を志向する創造)
3 別の時間性(テンポラリティ)の創発
4 異なる時相(アスペクト)の創発
5 非創発の創発者としての現実性
第3章 可能性から潜在性へ―円環モデル再説
1 始発点
2 始発点から一歩先へ
3 矛盾・排中律・反実仮想
4 可能性の増殖
5 無限個の可能性
6 転回点
7 アナロジー(1)―「対角線論法」を利用したアナロジー
8 アナロジー(2)―「文字」を利用したアナロジー
9 アナロジー(3)―「色」を利用したアナロジー
10 二つの因果観
11 潜在性の場から始発点へ
12 円環モデルと現実性
第4章 現実と実在と潜在と
1 実在と現実〔その一〕―「実は」と「現に」
2 実在と現実〔その二〕―「擬製的創造」と「祈り」
3 潜在と現実―その重なりとずれ
第5章 懐疑論・検証主義・独我論から独現論・汎現論へ
1 検証主義
2 懐疑論
3 可能性の文脈
4 現実性の萌芽
5 独我論
6 独我論から独現論へ
7 独現論から汎現論へ
第6章 〈 〉についての減算的解釈―独在性から現実性へ
1 出発点としての『〈私〉の哲学 を哲学する』
2 〈私〉と〈今〉を〈現実〉から峻別するとは、何をすることか?
3 〈経験的・超越論的〉二重体の真実―一方向性へ、の真相
第7章 意識とクオリア
1 志向性不全と再帰的な意識
2 マイナス内包としてのクオリア
補遺
第8章 現実在の哲学
1 「現実在」という用語について
2 無限後退/振動/循環
3 非対称しかない非対称
4 「決定論」の書き換えと「受肉」について
終章 たとえ哲学ではないとしても
1 幼年期のこと
2 身体と力
3 数や美味しいもの
4 情動の過剰
5 哲学と非哲学と哲学
あとがき
初出情報
図表索引
事項索引
人名索引
[著者]入不二基義(いりふじ・もとよし)
1958 年11 月11 日生。神奈川県立湘南高校卒業、東京大学文学部哲学科卒業、同大学院人文科学研究科博士課程満期退学。専門は哲学。青山学院大学教育人間科学部心理学科教授。著書に、『時間は実在するか』(講談社現代新書、2002 年)、『ウィトゲンシュタイン』(NHK 出版、2006 年)、『時間と絶対と相対と』(勁草書房、2007年)、『哲学の誤読』(ちくま新書、2007 年)、『相対主義の極北』(ちくま学芸文庫、2009 年)、『あるようにあり、なるようになる』(講談社、2015 年)、『現実性の問題』(筑摩書房、2020 年)、『問いを問う』(ちくま新書、2023 年)などがある。