「ありのまま」の身体

-メディアが描く私の見た目-

藤嶋陽子 著

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「ありのまま」の身体

定価2,420円(本体2,200円)

発売日2025年6月25日

ISBN978-4-7917-7718-1

「ありのまま」は美しい。「ありのまま」は難しい。
「ありのままが美しい」というメッセージに頷きながら、私たちは見た目をよくしたいという欲望を抱いて(抱かされて)しまう。「ありのまま」が肯定される時代で折り合いをつけながら生きる人のための必携書!
ポジティブなメッセージと現実のあいだで葛藤するすべての人のために――。

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[目次]

はじめに 「見た目」を考えることの難しさ
 私たちの厄介な身体
 美の規範やルッキズムへの抵抗
 本書について


1 「自分を愛する」というムーブメント
 メディアを介して広まる「美しさ」への意識
 身体そのものをめぐる流行
 画一的な美に抗う「ボディポジティブ」の登場
 ポジティブさから置き去りになる
 自信を持とうというエンパワメントに潜む課題
 互いの苦しみを理解し、共闘するために


2 ファッションを楽しむ「ぽちゃティブ」
 日本での「痩せている」と「太っている」
 プラスサイズファッションの普及
 明るく、おしゃれな「ぽちゃティブ」
 愛される身体、承認される「見た目」
 太っていてもかわいい、太っている方がかわいい
 消費を促す「愛される私」


3 「美しさ」が必要なマーケットのなかで、「美しさ」からは逃れられない
 「美しさ」の呪縛
 広告が描く、自分なりの「美しさ」
 「美しさ」のジレンマ
 マーケットに「受け入れられる」ということ
 「ファッション」となることのジレンマ


4 ボディポジティブの「ポジティブさ」とは何か?
 ロールモデルたちの「ポジティブ」な実践
 エンパワメントとしてのファッションやメイク
 体重が私の“すべて”になる
 「身体」のメディアコンテンツ化――成功物語としての変身譚


5 私と身体の現在地
 「ありのまま」は難しい
 素の美しさへの信仰
 私が救われるための消費
 誰のための、何のための消費であれば許されるのか?


おわりに 「ありのまま」の時代を生きていく私たちに
 「ありのまま」をめぐる強さ
 私の問題ではなく、社会の問題として共有していくこと
 異なる価値観を抱く、同じ痛みを抱えた誰かと共に



付録 私の「見た目」を考える断片集
 婚活リップ
 儚さと「美白」
 化粧品広告のなかの男性
 「ヘルシー」な体型
 美容整形は「ずるい」のか?

 

あとがきに代えて

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[著者]藤嶋陽子(ふじしま・ようこ)
現在、立命館大学産業社会学部准教授、Synflux株式会社CCO。博士(学際情報学)。専門は文化社会学、ファッション研究。編著に『クリティカル・ワード ファッションスタディーズ』(フィルムアート社)、『広告文化の社会学』(北樹出版)がある。