定価3,300円(本体3,000円)
発売日2025年7月26日
ISBN978-4-7917-7726-6
「資本主義の「中心」は、暖炉に燃料をくべ続け、ガザに爆弾を運び続けている」
1840年、イギリス帝国はパレスチナの港町アッカーを粉砕した。それは、石炭で駆動する蒸気船が世界ではじめて大規模に投入された瞬間だった。パレスチナへの連帯とは、化石資本主義と入植者植民地主義というふたつの歯車を止めることであり、沸騰状態にある地球を救うことである。化石燃料とその利益を至上のものとするシステムのもと、破壊と粉砕をもたらすグローバルな構造的暴力「ビジネス・アズ・ユージュアル」の歴史と本質に迫る、いま必読の書。
[目次]
序文 無制限(ノー・リミット)
パレスチナを破壊することは、地球を破壊することである
初めての先進後期資本主義ジェノサイド
粉砕様式
わが国には貴国を粉砕する力があると心得よ
粉砕されたアッカー
支配下に置かれたエジプト
引き渡されるパレスチナ
出来事ではなく構造
諸段階からなる二重破壊
化石イスラエル
ガザの燃焼
ロビー説を論駁する
パレスチナと地球を破壊するものを破壊すること
ブルジョワジーの冷酷さの典型例
最初のテクノジェノサイド
レジスタンスは続く
パレスチナ抵抗組織(レジスタンス)に関するいくつかの異論への反論
抵抗組織(レジスタンス)の左側で
個人的な覚え書きについて
化石燃料を利用するパレスチナ、利用しないパレスチナ
入植者の殺害について
現存するハマースについて
誓いを守る
戦士を非難することについて
イスラエル・ロビー説への異論に対する反論
原注
補論 タンクの壁を叩く― パレスチナの抵抗について(訳=中村峻太郎)
訳者あとがき
[著者] アンドレアス・マルム(Andreas Malm)
ルンド大学人文地理学部准教授。専門は人間生態学。著書『化石資本』 (Fossil Capital, Verso Books, 2016)でドイッチャー記念賞受賞。2021年刊行の著書 How to Blow Up A Pipeline(邦訳『パイプライン爆破法』月曜社、2021年) は、気候運動をラディカルな闘争の歴史に位置づけるとともに、直接行動と財物破壊を擁護して世界的な注目を集めた。
[訳者] 箱田徹(はこだ・てつ)
神戸大学国際文化学研究科准教授。専門は思想史・現代社会論。著書に『フーコーの闘争』(慶應義塾大学出版会、2013年)、『今を生きる思想 ミシェル・フーコー』(講談社現代新書、2022年)、訳書にクリスティン・ロス『68年5月とその後』(航思社、2014年)、アンドレアス・マルム『パイプライン爆破法』、アントニオ・ネグリ+マイケル・ハート『アセンブリ』(岩波書店、2022年、共訳)、フィリップ・アルティエール編『耐え難いもの』(人文書院、2025年、共訳)などがある。
[補論訳者] 中村峻太郎(なかむら・しゅんたろう)
京都大学大学院文学研究科博士後期課程。研究テーマは文学のなかの鉱山、資源採掘の表象。〈旅する気候ジャーナル 船と風〉のメンバー。翻訳にナオミ・クライン+アストラ・テイラー「終末ファシズムの勃興」(『世界』2025年7月号)などがある。