定価1,980円(本体1,800円)
発売日2025年7月26日
ISBN978-4-7917-1485-8
100年目に問う、昭和の実像と幻像
今年2025年は、太平洋戦争終結80年の節目であると同時に「昭和100年」とも呼ばれる。本特集では、近年――憧憬あるいは嫌悪をもって――盛んに回顧される「昭和」表象にも目を向けつつ、60年余りに及んだこの一時代をいま改めて問うことで、戦前/戦後を貫き現在にまで連なる歴史のありようを広く見渡していく契機としたい。
[目次]
特集*「昭和一〇〇年」から問う
【討議】
記憶の場としての「昭和」/方法としての「昭和」 / 佐藤卓己+成田龍一
【一〇〇年目に】
昭和とは何だったのか、何であるのか / 古川隆久
【終わりなき政治】
継続する植民地主義としての「昭和」――変容と継続を見極める / 中野敏男
昭和の哲学――歴史的構想力の問題 / 浅沼光樹
戦後日本政治における革新政党の衰退――「非武装中立」ではない何であるべきだったのか / 神田豊隆
【時代との格闘】
リメイクされる「聖断」――『日本のいちばん長い日』における天皇表象をめぐって / 茂木謙之介
戦後の「闇」を捉え返す――田中絹代監督『恋文』(一九五三年)が描くもの / 紙屋牧子
戦後の両義性――三島由紀夫における昭和 / 梶尾文武
脱構成的政治のゆくえ――ある大学闘争と現在 / 友常勉
【生活の年代記】
「習慣」から「趣味」へ――「昭和型皆婚時代」の興亡 / 水無田気流
昭和の子どもとその幻影――社会化=統治システムの確立・反省とその先の現代 / 元森絵里子
復興からみた台所の昭和史――主婦の城、世界の縮図 / 須崎文代
【メディウムとしての時空】
「歴史という教養」の問題系――「昭和五〇年代」と司馬遼太郎ブームのメディア史 / 福間良明
国家/都市/農村――「昭和のテレビ」の考古学 / 飯田豊
昭和熱海――女たちを中心に / 松田法子
昭和音曲史・見取り図 / 輪島裕介
【〈懐かし〉の行方】
時代、記号、あるいはフィルターとしての「昭和」 / かねひさ和哉
テレビがいま抱える「昭和」問題――“戦前を知らないメディア”の戦後史 / 太田省一
【資料】
「令和」から見る「昭和」の事件16 / 鈴木洋仁
【連載●科学者の散歩道●第一一二回】
世界国家アメリカ形成と国立研究所の勃興――冷戦崩壊とSSC中止 / 佐藤文隆
【連載●社会は生きている●第三六回】
社会と自我12――選択と決定 / 山下祐介
【連載●家族と憲法●第二回】
家族についての法と現実――ローマ法からフランス民法典まで / 木村草太
【研究手帖】
生成AIとともに生きながら物語を読むこと / 山田慎太郎