定価1,980円(本体1,800円)
発売日2025年9月27日
ISBN978-4-7917-0468-2
デビュー55周年記念の総特集!
伝説的バンド、はっぴいえんどのドラマー兼作詞家で1970年にデビューした松本隆。1972年のバンド解散後に作詞家として本格的に動き出す彼は、風街に無数の――その数は2,100曲以上になる――ことばを散りばめていく。本特集では、作詞家生活55周年を迎える松本隆の詞世界をつぶさに観察する。この試みは日本の音楽史を見渡す、天体観測にも似た壮大なものとなるだろう。しかし恐れず、そのプリズムを追いかけたい。
総特集◎松本隆――風街の55年
❖ロングインタビュー
ことばで歌う人 / 松本 隆(聞き手=細馬宏通)
❖レジェンドたちは語る
風都市――ロック時代のデジャヴ・ノート / あがた森魚
新型の形容です / 鈴木慶一
「September」そして…? / 林 哲司
二人だけの通奏低音 / 南 佳孝
❖風街とは何か
はっぴいえんど時代の松本隆が描き出した「風街」と東京 / 大石 始
「風街」と幼年時代 / 周東美材
風街ロマン主義の系譜――ワーズワース・ボードレール・三好達治、あるいはかせきさいだぁ / 矢野利裕
〈見慣れた街〉と〈見知らぬ街〉 / 大谷能生
❖対談
何でも初めてだった / 松本 隆×鈴木 茂(司会・構成=高岡洋詞)
❖イラスト/マンガギャラリー
ラブレター / 高 妍
あの日の言葉 / 今日マチ子
うみべの女の子 / 浅野いにお
❖「木綿のハンカチーフ」の衝撃
「「木綿のハンカチーフ」の女の子」のありか / 児玉雨子
「木綿のハンカチーフ」と詩の構造 / 斉藤 倫
❖オマージュ詩
永遠の石 / 最果タヒ
❖松田聖子へ向かって
曲先の冒険――赤いスイートピー論 / 細馬宏通
脱政治〈色〉の少年少女――松田聖子に宛てた詞をめぐって / 星川 彩
❖アンケート
わたしと松本隆 / 斉藤由貴・佐野史郎
❖インタビュー〈1〉
驚きの死生観 / クミコ(聞き手=西村紗知)
❖九〇年代以降の松本隆
やさしいのは「水」である――松本隆×クミコによる一連の作品のために / 西村紗知
松本隆の作詞における時間軸へのアプローチ / 冨田ラボ(冨田恵一)
「硝子の少年」に散らばる松本隆の刻印――九〇年代以降の文学的集大成とは / 小野田 光
風街であえないきみへ――「水中メガネ」のカヴァーと松本隆における少年性 / 石川 愛
❖風街にとどけ!
歌わない作詞家の声色 / 山下賢二
シルク / 曽我部恵一
瑠璃色の地球側 / ゆっきゅん
胡桃色の風ってどんな色? / 町 あかり
❖架橋することば
「こっち側」のシンボル――松本隆とサブカルチャー / 田家秀樹
松本隆は歌謡曲の流れにどう向きあったのか / 東谷 護
流行歌史のなかの松本隆 / 張 佳能
❖インタビュー〈2〉
「白睡蓮」の菩薩のように / 氷川きよし(聞き手・構成=天野龍太郎)
❖声がきこえる
静 / 尾上 紫
ラジオの中の風街で / 竹内香苗
❖100年前/先の風街へ
未来の風景 / 髙山花子
『微熱少年』を読み直す――松本隆と小説 / 瀬崎圭二
松本隆は何を訳したのか? / 小室敬幸
❖音楽ライター/評論家が選ぶ珠玉の20曲
松本隆と「少女」たちの肖像――その自我へのまなざし / 井草七海
変わりゆく風景、変わらない抒情 / 松山晋也
風街の住人たちを観測した生活史 / 峯 大貴
男と女の心の機微、そして死生観へ / 宗像明将
5分だけでもいいから俺の話を聞いてよ / 安田謙一
表紙・目次・扉写真=池野詩織
装幀=佐野裕哉