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この惑星の塵のなかで

-哲学のホラー-

ユージーン・サッカー 著,浅沼光樹 訳

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この惑星の塵のなかで

定価3,300円(本体3,000円)

発売日2025年10月14日

ISBN978-4-7917-7739-6

待望の初訳! 思考不可能な世界を呼び覚ます
今日、世界は私たちの思考の及ばないものとなりつつある。惑星規模の災害、パンデミックの勃発、そして迫り来る絶滅の危機。本書は、私たちが思考の彼方へと逃れ去る世界を思考するための手段として、ホラーというジャンルに目を向ける。ブラックメタルからラヴクラフト、さらには伊藤潤二の漫画まで——さまざまな作品を媒体としながら謎めいた奇才によって提唱される、独自の宇宙的悲観主義。

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[目次]

序章 不可知の雲

第1章 魔学に関する三つの問題
問題 Ⅰ——ブラックメタルにおける「黒い」という言葉の意味について
問題 Ⅱ——魔はいるのかどうか、いかにして魔を知るのかについて
問題 Ⅲ——魔学について、そしてそれが学問の名に値するかどうかについて

第2章 オカルト哲学に関する六つの読書
前文——アグリッパ『オカルト哲学』について
1 マーロウ『フォースタス博士の悲劇』~ゲーテ『ファウスト』第一部
2 ホイートリ『黒魔団』~ブリッシュ『ブラック・イースター』
3 ホジスン『幽霊狩人カーナッキ』~「二次元の世界へ」(『アウター・リミッツ』)
4 ラヴクラフト「彼方より」~伊藤『うずまき』
5 シール『紫の雲』~ホイル『暗黒星雲』~バラード『狂風世界』
6 『カルティキ/悪魔の人喰い生物』~『怪獣ウラン』~ライバー「黒いゴンドラ船頭」
補遺——シュミット『政治神学』について

第3章 神学のホラーに関する九つの討論
1 来世
2 冒瀆的生命
3 取り巻くものとしての疫病
4 ネクロス
5 生物学の霊
6 一義的生物
7 絶滅と存在
8 非存在としての生命
9 無名のホラー

「触手のある黒い空虚が低い声で囁く」
プロローグ
スタンザ Ⅰ
スタンザ Ⅱ
スタンザ Ⅲ
スタンザ Ⅳ

 *

訳註
訳者解題

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[著者]ユージーン・サッカー(Eugene Thacker)
公開されている情報は極めて少ない。アメリカ生まれ、比較文学の研究で学位を取得し、現在、ニューヨークのニュースクルール大学のメディア学の教授である。Biomedia(2004), After Life(2010)などの刊行の後、2011年の本書を第1巻とする「哲学のホラー」3部作によって広く注目を集める。全体の論調は暗く、メランコリックで、その哲学的立場は「宇宙的悲観主義」とも称される。The Japan TimesにJホラーに関する連載を寄稿するなど、日本の思想文化に造詣が深いことでも知られている。

[訳者]浅沼光樹(あさぬま・こうき)
1964年、岩手県に生まれる。京都大学大学院文学研究科博士後期課程哲学専攻(西洋哲学史)研究指導認定退学。京都大学博士(文学)。専門は哲学・哲学史。著書に『非有の思惟――シェリング哲学の本質と生成』(知泉書館)、『ポスト・ヒューマニティーズへの百年――絶滅の場所』『人間ならざるものと反政治の哲学』(ともに青土社)がある。