定価1,980円(本体1,800円)
発売日2025年9月27日
ISBN978-4-7917-0467-5
デビュー10周年記念特集
第22回日本ホラー小説大賞を受賞した『ぼぎわんが、来る』によるデビュー以後の10年は、まさに「現代ホラーの新しい波」(朝宮運河『現代ホラー小説を知るための100冊』)が巻き起こるその渦中の時代であった。そしていよいよホラーブームは深化をみせている……。怪談やモキュメンタリーにも接ぎ木される「ホラー小説」の最前線に、あくまでも小説家として立ちつづける澤村伊智の10年に迫る。
特集*澤村伊智――――『ぼぎわんが、来る』『予言の島』『斬首の森』…デビュー10周年記念
❖対談
ホラーの住人であるということ / 澤村伊智×梨
❖書き下ろし掌篇
くさい展 / 澤村伊智
❖旗手の登場
由々しき存在 / 三津田信三
短篇の好きな対談相手 / 井上雅彦
流れの果てに / 黒史郎
❖澤村伊智という現在地
ホラー小説と怪談のあいだ / 吉田悠軌
ゆらめく「怪談」――澤村伊智『怪談小説という名の小説怪談』の企み / 一柳廣孝
因習村は語ることができるか、あるいはどうすれば語ることができるか / 廣田龍平
❖インタビュー
ツイストの先の倫理――あるいは澤村伊智の構造 / 澤村伊智 聞き手=佐々木敦
❖澤村伊智に連れられて
愛と驚愕の澤村伊智 / 東雅夫
「お山」に誘われて / 上條一輝
❖「ぼぎわん」と怪異のポリティクス
怪異の理、国家の軛――『ぼぎわんが、来る』と映画『来る』 / 茂木謙之介
去勢する妻、呑み込む母――澤村伊智『ぼぎわんが、来る』における不気味な怪物的女性ヴァギナ・デンタータ / 堀井一摩
「呪い」のパラドックス――『ずうのめ人形』におけるジェンダー / 橋迫瑞穂
過去のホラーを超えて――Jホラーと澤村伊智 / 藤原萌
❖澤村伊智を読む
澤村伊智の引用・参考文献のススメ / 阿津川辰海
滑稽さとコウモリとのあいだ / 春日武彦
怪談という名の怪談 / 我妻俊樹
❖ホラーミステリ試論
土着ネイティヴと探偵ディテクティヴの交合 / 小松史生子
ホラーと騙し――〈正統派〉で〈トリッキー〉な澤村伊智 / 高田敦史
恐怖の対象としての因果――ホラーとミステリの融合が生み出したもの / 荒岸来穂
「信」をつくり壊す――澤村伊智の小説における「怖がらせ屋」たちの方法 / 川崎公平
❖なにが、怖いのか
見開き越境 / 藍内友紀
記憶が、来る / 伊藤亜和
痛さと尖り / 古田一紀
❖なによりも怖いもの
怪異の皮膚、人間の黒子 / 太田充胤
「霊能者」とは何か――「比嘉姉妹シリーズ」と霊的次元のプロフェッショナル / 大道晴香
境界線の向こう側――澤村伊智作品に現れる、ひとの「心の闇」 / 村上スミス・アンドリュー
『ファミリーランド』と差別という恐怖 / 近藤銀河
❖10年とその先
澤村伊智全著作解題 / 朝宮運河・若林踏
❖忘れられぬ人々*48
故旧哀傷・瀬戸寿太郎 / 中村稔
❖詩
鳥 / 栁川碧斗
❖今月の作品
ながさきふみ・こはく・幸地千華・柴田爽矢・norik@_K / 選=井坂洋子
❖われ発見せり
読めない本と裏切り / 山本ジャスティン伊等
表紙・目次・扉=北岡誠吾