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共依存とケア

-ふるいにかけられる声を聴く-

小西真理子 著

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共依存とケア

定価2,860円(本体2,600円)

発売日2025年10月27日

ISBN978-4-7917-7746-4

ケア・治療の相手のことを私たちはよくわかっているのだろうか。その愛憎、悲哀、そのつながり、しがらみ、その生きざま、ドラマを。本書に裁きや傍観はない。本書には批評と臨床がある。

——小泉義之

家庭内トラウマや共依存問題を抱えた人をめぐる物語には“あわいの感情と感覚がひしめいている。そこには、悲しみと喜び、苦痛と快楽、嫌悪と愛情が交じりあい、「正しさ」ではわりきれないを肯定しようとする声が響いている。急措置”をほどこしながら生き延びる人たちの「もうひとつの声」を届ける一冊。

——小川公代

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[目次]

序章   ふるいにかけられる声を聴く

第I部  依存の傍らで——親と子・友人・セラピスト          

第1章  親をかばう子どもたち——被虐待経験者の語りを聴く

第2章  共依存と友人関係——悩みの共有先としての身近な存在            

第3章  共依存の「インタビュー」——薫さんの語りを書く

第4章  共依存とカップルセラピー             

第II部  共依存と物語——救いの手か、破滅への道か

第5章  私は被害者ではない——『Saving Mr. Banks』、『流浪の月』が問いかけるもの

第6章  ただ安堵したいだけ——金原ひとみの短編集『アンソーシャル ディスタンス』を読む

第7章  来たるべき破滅、魂の結合——少女たちの心のよりどころとしての嶽本野ばら作品

第8章  赦しの与え手としての他者への依存——ドラマ版『白夜行』における共生関係の内実

第III部  共依存とケア——愛と執着のはざまで

第9章  語りという暴力、聴くことの喜び——ヤングケアラーとプラケイター

第10章 共に住まう母と息子——人間関係におけるラベルと解釈を超えて

第11章 愛がたどり着く場所——「母親」から「バイスタンダー」へ

 

終章   規範の外の生と〈倫理〉——共依存者への評価をめぐって

補論   臨床哲学研究室と〈私〉——拝啓、鷲田清一さま

あとがき/参考文献/初出一覧

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[著者]小西真理子(こにし・まりこ)

1984年生まれ。大阪大学大学院人文学研究科准教授。専門は臨床哲学、倫理学。著書に『共依存の倫理——必要とされることを渇望する人びと』(晃洋書房、2017年)、『歪な愛の倫理——〈第三者〉は暴力関係にどう応じるべきか』(筑摩選書、2023年)、共編著に『狂気な倫理——「愚か」で「不可解」で「無価値」とされる生の肯定』(晃洋書房、2022年)、共訳書にキャロル・ギリガン『抵抗への参加——フェミニストのケアの倫理』(晃洋書房、2023年)など。