『資本論』と現代世界

-マルクス理論家の追憶から-

伊藤誠 著

  • はてなブックマークに追加
  • LINEでシェア
  • Google+でシェア
『資本論』と現代世界

定価2,640円(本体2,400円)

発売日2023年9月5日

ISBN978-4-7917-7577-4

第一人者が思考し続けた、社会の未来とは——
「……お世話になり影響をうけた多くの先生、先輩、友人に感謝しつつ、マルクスの『資本論』にもとづき、現代世界をいかに理解し、未来になにを期待するか、私なりに興味をもって学びとり、いまだに少しでも研究や思索を深めたいと願っている諸問題を再確認してみるのもよいかと思うにいたった。」(本文より)
日本におけるマルクス経済学の歴史だけでなく、ひとりの経済学徒として見てきた世界と現実を克明にえがき、最後まで見続けた経済学の行く末をも語る。まさに畢生の書。

line2.gif

[目次]

1 社会科学としての経済学を求めて――相原茂と玉野井芳郎、他
(1) 『資本論』読書会
(2) 相原茂先生の教養の経済学
(3) 玉野井芳郎先生の学問的刺激

 

2 『資本論』に学ぶ――鈴木鴻一郎と岩田弘、他
(1) 『資本論』にいかに学ぶか
(2) マルクス恐慌論の形成過程
(3) 鈴木=岩田・世界資本主義論の意義

 

3 農業問題と地代論の意義――大内力、渡辺寛、日高普、他
(1) 日本資本主義分析の体系的手法
(2) カウツキーとレーニンの農業理論
(3) ヘーゲル法哲学へのマルクスの批判

 

4 宇野理論の方法と現代世界の多重危機――巨匠宇野弘蔵をしのぶ
(1) 宇野弘蔵の独創的方法論
(2) 『資本論』の活かし方
(3) 現代世界の多重危機のなかで

 

5 マルクス・ルネッサンスへ――M・デザイ、M・ドップ、B・ローソンらとの対話
(1) 欧米マルクス・ルネッサンスへ
(2) スラッファ理論とマルクス価値論の再評価――ドップとの対話
(3) 転形問題論争の意義と役割

 

6 恐慌論と現代資本主義の危機――A・グリン、D・ハーヴェイとの交流
(1) 一九七三~七五のインフレ恐慌の意義――A・グリンとの協力
(2) D・ハーヴェイとの対話――インフレ恐慌からサブプライム恐慌へ
(3) 何をなすべきか

 

7 ソ連型社会主義の危機と崩壊――P・スウィージーとW・ブルスらに寄せて
(1) 社会主義化するアメリカの知的源流
(2) ソ連型社会崩壊の歴史的意義
(3) 多様な社会主義の選択肢

 

8 金融化資本主義とサブプライム恐慌――C・ラバヴィツァス、G・ディムスキーとの協力
(1) 現代資本主義の金融化
(2) サブプライム世界恐慌の分析
​(3) 労働力の金融化

 

9 新古典派経済学との対峙関係のなかで――置塩信雄、レギュラシオン学派、SSA理論とともに
(1) 置塩信雄とのノート交換による共著
(2) レギュラシオン学派の魅力と問題点
​(3) アメリカのラディカル派とSSA理論

 

10 エコロジカル社会主義の意義――いいだもも、R・ポーリン、J・フォスター、斎藤幸平との協力
(1) エコロジカルな危機の深化
(2) グリーンリカバリー理論
​(3) エコロジカルマルクス派との協力

 

文献一覧

あとがき――伊藤(中馬)祥子

初出一覧

line2.gif

[著者]伊藤誠(いとう・まこと)
1936年生まれ。東京大学名誉教授。東京大学経済学部教授、國學院大學経済学部教授、国士舘大学大学院グローバルアジア研究科教授、日本学士院会員を歴任。宇野弘蔵の後継者として6冊の英文著書があり国際的評価も高い。2012年にThe World Association for Political Economy, Marxian Economics Award を、2016年に経済理論学会・ラウトレッジ国際賞をそれぞれ受賞。おもな著書に『価値と資本の理論』『資本主義経済の理論』『資本主義の限界とオルタナティブ』(岩波書店)、『信用と恐慌』(東京大学出版会)、『逆流する資本主義』(東洋経済新報社)、『現代の社会主義』『『資本論』を読む』(講談社学術文庫)、『経済学からなにを学ぶか』『入門資本主義経済』(平凡社新書)、『マルクス経済学の方法と現代世界』(桜井書店)、『サブプライムから世界恐慌へ』『マルクスの思想と理論』(青土社)、『伊藤誠著作集』全6巻(社会論評社)など。共編書に『21世紀のマルクス』(新泉社)などがある。2023年2月7日没。