定価2,640円(本体2,400円)
発売日2023年12月21日
ISBN978-4-7917-7606-1
芸術の究極を求め、闘う喜劇王の魅力のすべて。
チャップリンは、激動の時代にこそ生き返る――。変革を求める世界の天才表現者たちと強く共鳴・共振して。曽於ゆるぎない反骨と博愛の精神は、ハリウッドにはびこるおぞましさと、ヒトラーの悪の帝国と、赤狩りの猛威などに宣戦布告。卑劣な差別・偏見・不正義との、孤立無援の戦いを敢然とやり抜く――。著者渾身の意欲的評伝。

[目次]
はじめに
Ⅰ
第1章 チャップリンとアヴァンギャルド
チャップリンへの不当な扱いに抗って
アヴァンギャルドの芸術家たちのチャップリン熱
「想像力の義肢」
機械の身体
「シャルロ・キュビスト」
ロシア・アヴァンギャルドとチャップリン
チャーリー=チャップリンは変容する
第2章 チャップリン舞踊
「あなたの喜劇はバレエそのものです」
ミュージック・ホールとバレエ
ニジンスキーに魅せられて
『ライムライト』の舞台裏
身体の拡張
舞踊的身体の影響
第3章 チャップリンと音楽
「音楽が私の魂に入ってきた」
チャップリンの音楽愛
チャップリンの「レコード・デビュー」
音楽家としての成功
チャップリンの作曲法
身体的音楽、あるいは音楽的身体
引用とライトモチーフ
〈音〉の拡張
音楽と社会――〈前衛〉の音楽家
第4章 チャップリンと音楽
映画のチャーリーが発する言葉
現実のチャップリンが発する言葉
受け継がれる〈抵抗の言葉〉
シティ・ライツ・ブックストア
チャップリンとビート詩人
現代の吟遊詩人たちへ
Ⅱ
第5章 チャップリンとアニメーション
アニメーション界のスター、チャーリー
チャップリン・アニメのヒット
初期アニメーションへの影響
チャップリンとディズニー
「自分の作品の著作権は、他人の手に渡しちゃだめだ」
エンターテインメントの二人の巨人
戦争と別れ
師弟が見て居た同じ夢
第6章 チャップリンとヌーヴェルヴァーグ
俗物根性(スノビズム)から遠く離れて
ゴダール『映画史』のチャップリン
ヴェルトフ/チャップリン/ゴダールの〈音=映像〉
映像の毒
『キッド』と『アワーミュージック』
第7章 チャップリンと歌舞伎
二つの手がかり
日本におけるチャップリン受容
『街の灯』と『蝙蝠の安さん』のあいだ
〈紳士〉の「蝙蝠安」
第8章 チャップリンとSF
未完のSF作品『フリーク』
翼を持った少女の物語
サラファ――天使と人間
レイサム――ウェルズ、ナボコフ、チャップリンにおける「飛翔と落下」
大いなる未完の作品
「私たちはみんな奇蹟なのです」――あとがきにかえて
初出について/主要参考文献/主要参照文献
謝辞

[著者]大野裕之(おおの・ひろゆき)
1974年生まれ。脚本家・演出家・映画プロデューサー・日本チャップリン協会会長。京都大学大学院人間・環境学研究科(後期)博士課程所定単位取得。著書に、『チャップリンとヒトラー』(岩波文庫、サントリー学芸賞)、『チャップリン作品とその生涯』(中公文庫)、『教養としてのチャップリン』(大和書房)ほか多数。