日本の山の精神史

-開山伝承と縁起の世界-

鈴木正崇 著

  • はてなブックマークに追加
  • LINEでシェア
  • Google+でシェア
日本の山の精神史

定価4,400円(本体4,000円)

発売日2024年7月26日

ISBN978-4-7917-7664-1

列島の人びとは山に何を見てきたのか――
出羽三山、鳥海山、早池峯山、戸隠山、日光山……。山と人びととの関わりを、これまであまり顧みられてこなかった開山伝承や縁起に秘められた複雑な歴史を丁寧に紐解きながらあきらかにする。民俗学者として、人類学者として、山々を歩き、そこに堆積している声に耳を傾け続けてきた著者による集大成。

line2.gif

まえがき

 

第一章 山岳信仰と仏教――開山の思想を中心に

一、山岳信仰への視覚

二、開山伝承

三、役行者の位置づけ

四、遡及史観を読み替える

五、古代の山林修行

六、古野での山林修行の展開

七、山岳信仰と空海

八、山岳信仰と熊野

九、権現の思想と開山

 

第二章 出羽三山の開山伝承――『羽黒山縁起』を中心として

一、縁起へのアプローチ

二、出羽三山の神仏分離

三、三山の比定

四、中世の縁起類

五、『羽黒山縁起』と天宥の実績

六、『羽黒山縁起』を読む

七、開山者をめぐる諸問題

 

第三章 鳥海山の信仰と修験――縁起・儀礼・芸能

 第一部 鳥海山と人々の暮らし

一、概況

二、水の恵みと信仰

三、龍の伝承

四、劔龍山

五、御山参りの縁起と和讃

六、御山参りの実態

七、登拝道

八、山中の伝承

九、山中の秘所

一〇、山中他界

 

 第二部 鳥海修験――蕨岡を中心に

一、中世から近世へ

二、蕨岡の縁起

三、修験の展開

四、蕨岡の修験

五、蕨岡の集落

六、峯入り

七、年齢階梯と芸能

八、舞楽と法華八講

九、大御幣祭

一〇、胎内修行

一一、胎内修行の意味

一二、鳥海修験と羽黒修験

一三、近代の蕨岡

一四、胎内修行の消滅と変貌

 

 第三部 鳥海山麓の伝承

一、吹浦の縁起

二、卵生神話

三、吹浦と蕨岡の関係

四、吹浦の近代

五、吹浦の年中行事

六、正月行事と御頭巡行

七、卯月八日

八、吹浦の例大祭

九、矢嶋の縁起

一〇、矢嶋修験と鳥海山

一一、木境の薬師堂

一二、本海獅子舞番楽と鳥海山信仰

一三、獅子舞と開山伝承

一四、瀧澤とその周辺

一五、ミニ鳥海山

一六、小瀧修験

一七、小瀧の縁起

一八、小瀧の年中行事と芸能

一九、劔積口と劔龍山

二〇、おわりに

 

第四章 早池峯山と『遠野物語』――史実と縁起のはざま

一、早池峯山

二、遠野の三女神の話

三、『早池峯山縁起』

四、早池峯山の開山伝承

五、新山宮と妙泉寺

六、大出の祭祀と継承

七、山中での不思議と東禅寺

八、早池峯山への登拝

九、年間の祭りと農耕暦

一〇、来内村と早池峯山

一一、伊豆権現の由来

一二、来内村の鉱山伝承

一三、伊豆権現と熊野権現

一四、稗貫郡の開山伝承

一五、遠野と稗貫の伝承の差異

一六、伝承の深層へ

 

第五章 戸隠の縁起を読み解く――『戸隠山顯光寺流記』を中心に

一、縁起を読む

二、戸隠の略史

三、山岳観と自然認識

四、『阿裟縛抄』

五、『阿裟縛抄』を読み解く

六、『戸隠三顯光寺流記』の位置づけ

七、『戸隠山顯光寺流記』の概要

八、『戸隠山顯光寺流記』を読み解く

九、中世から近世へ

一〇、近世からの戸隠の変貌

 

第六章 開山伝承と現代――日光山の勝道をめぐって

一、開山者

二、開山伝承

三、勝道の事積

四、開山伝承の意義

五、空海の来山伝承と瀧尾草創

六、円仁の来山伝承と常行堂

七、三所権現の成立と熊野信仰

八、日光山縁起

九、日光山縁起を遡る

一〇、狩猟伝承への展開

一一、中世の日光修験

一二、日光山の近世

一三、近世の日光修練の峯入り

一四、古峰ヶ原・男体禅頂・船禅頂

一五、勝道の顕彰と中世との連続性

一六、日光山の近代

一七、日光山の現代

一八、未来へのメッセージ

 

あとがき

参考文献

図版一覧

索引

line2.gif

[著者]鈴木正崇(すずき・まさたか)

1949年生まれ。慶応義塾大学大学院文学研究科博士課程修了。文学博士。慶応義塾大学名誉教授、日本山岳修験学会会長。著書に『スリランカの宗教と社――文化人類学的考察』(春秋社、1996)、『神と仏の民俗』(吉川弘文館、2001)、『祭祀と空間のコスモロジー――対馬と沖縄』(春秋社、2004)、『ミャオ族の歴史と文化の動態――中国南部山地民の想像力の変容』(風響社、2012)、『山岳信仰――日本文化の根底を探る』(中公新書、2015)、『東アジアの民族と文化の変貌――少数民族と漢族、中国と日本』(風響社、2017)、『熊野と神楽――聖地の根源的力を求めて』(平凡社、2018)、『女人禁制の人類学――相撲・穢れ・ジェンダー』(法蔵館、2021)、『女人禁制』(講談社学術文庫、2022)など多数。