定価5,940円(本体5,400円)
発売日2025年5月26日
ISBN978-4-7917-7681-8
誰のために作られる超高層建築か
資本力と新奇なデザインを誇示するかのように、繁華街に次々と林立する超高層ビル群――。大胆にみどりを削り、地形を変え、記憶に生きられた町並みが消え、街の相貌が一変する。そのような空間に人は馴染めるだろうか――。現代建築の第一人者が「建築とは何か」を根源から思索し提言する、建築の〈知〉と〈現場〉。図版多数。

プロローグ
―――
「場所」と「身体」―プロローグに代えて
1部
―――
2000
アルミの家への期待
菊竹アトリエの記憶―息を呑む程の緊張と破壊
エンリック・ラミーレス氏の死を悼む
二一世紀の建築について―〈ビルバオ・グッゲンハイム〉があからさまにした未来
2001
軽いと感じられる空間からリアルに軽い空間へ―アルミ・ストラクチュアの可能性
近代を超える「もうひとつの空間」
切り分けること―連続させること
せんだいメディアテークから学ぶこと
身体と建築的場のわずかな関係―ダンス「ハイパーバラッド」の舞台美術
生の豊かさをデザインする
「イームズ邸」の特異性
対話しながらつくり、つくりながら対話する
アンダー・コンストラクション―畠山直哉の建築写真
2002
新しい物質性を超えて―ヘルツォーク&ド・ムーロンの建築
非線形な方法が建築を変える―ふたつの仮説パビリオンをめぐって
〈抽象〉と〈具体〉をめぐる五組の建築家―日本・ヨーロッパ建築の新潮流2002
「綺麗さ」から「強さ」へ―都市の再編に向けて
明確さと客観性に代わるもの
イチロー的建築家像―建築のリアリティをめぐって
2003
もっとオープン・コンペティションの機会を
建築、それとも非建築?
2004
ピュアな美しさより生き生きとした楽しさを
柔らかな幾何学に挑む強靭な意思―佐々木睦朗との建築コラボレーション
個人の表現を共有言語化しうるためにデザインの論理化はある
遠い夢の家を実現する
2005
息づくふたつの家―妹島和世と藤森照信の小住宅が語ること
TOD’S表参道ビル―透明か不透明かが問題ではない
丹下健三―七〇年代以降不在の建築家
おしまいのページで
1. 串田和美さんの芝居
2. イタリーの家具メーカー
3. コンピュータを操る職人たち
4. 設計と施工の境界が消える日
シームレスな建築
ラワン合板によるメビウスの輪―「フィガロの結婚」の舞台美術
2006
揺るぎない建築家への信頼―スペインでの設計活動
篠原一男を偲ぶ―批評行為として建築への共感と(そこからの)脱却
官能と概念の臨界点―ハンナン・チェア以降
新しいリアル―現代建築に物質(もの)の力を回復するために
2007
藤森建築の想像力
再読 菊竹清訓『代謝建築論』―本能的、瞬時的にメタボリズムの核心を衝く
2008
「弱い建築」からの脱皮―『藤本壮介|原初的な未来の建築』
くまもとアートポリスによるまちづくり
2009
建築のプリミティブをめぐる四つの提案
誰のために現代建築はつくられるのか
新しい建築の秩序を求めて
一本の木から学ぶこと
2部
―――
2010
「抽象化」のワナに陥らない唯一の建築家―藤森照信の建築
コンピュータテクノロジーによる新しい建築原理が教育システムを変える
2011
「何をデザインするか」ではなく、「デザインとは何か」を問いかける人―倉俣史朗とエットレ・ソットサス
仙台へ行ってきました
多木浩二氏を悼む
2012
藤森照信の建築は何故宙に浮かぶのか
もっと住民の意を汲んだまちづくりを
弔辞―菊竹清訓氏追悼の集い
現実世界に物語を創る―大西麻貴と百田有希の建築について
ここに、建築は、可能か
2013
都市が創造的な時代は終わったのかもしれない
懐かしい未来のまちへ
『生きられた家』再考
プリツカー建築賞受賞スピーチ
思案のノート 懐かしい未来のまちへ
1. 自然に開かれた暮らし
2. 洞窟のような劇場―台中国家歌劇院
3. 子供のための建築塾
4. メキシコでバロックのミュージアムをつくる
5. 農業支援の「みんなの家」
6. 建築家 丹下健三の偉業
7. GNHの国、ブータンを尋ねる
8. 東京五輪のおもてなしとは
9. 一本の木から学ぶこと
10. 二一世紀的未来とは
11. 持続する意志―台中国家歌劇院の上棟式
12. 被災地の心温まる場―東日本大震災から三年
デザインと機能
大三島の三つの建築
2014
氏より素性―半世紀を経た日生劇場に思う
ル・コルビュジェのインドが教えてくれるもの
台中メトロポリタンオペラハウスの軌跡
2016
木地師 佐竹康宏氏の仕事
2017
実現することの重さ―台中国家歌劇院の竣工に際して
新しいライフスタイルを大三島から考える
教える、というより学ぶ―子供建築塾の六年間
2019
この本と出会った―武満徹著『音、沈黙と測りあえるほどに』
3部
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2020
建築は人の居場所をつくることである
2021
メタボリズムの論理
もうひとつのユートピア
2023
地方都市にこそ新しい建築創造の可能性がある
磯崎新氏の死を悼む
近代化によって失われたもの
山陰~山陽の旅の想い出
「人に生きる力を与える」建築は可能か
あとがき

[著者]伊東豊雄(いとう・とよお)
1941年生まれ。建築家。東京大学工学部建築学科卒業。菊竹清訓建築設計事務所勤務を経て、伊東豊雄建築設計事務所を設立。国内外の建築を手掛け、ヴェネチア・ビエンナーレ金獅子賞、プリツカー建築賞等を受賞。2011年、これからのまちや建築のあり方を考える「伊東建築塾」を設立。愛知県今治市大三島で継続的なまちづくりの活動にも取り組む。主な著書に、『風の変様体』(青土社)、『透層する建築』(青土社)、『伊東豊雄 自選作品集:身体で建築を考える』(平凡社)、『誰のために 何のために 建築をつくるのか』(平凡社)ほか。