物語伝承論

兵藤裕己 著

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物語伝承論

定価5,720円(本体5,200円)

発売日2025年6月26日

ISBN978-4-7917-7722-8

声によってつむがれた壮大な文学史

「源氏」の物語は書きうつされ、「平家」の物語は語られ、受けつがれてきた。それらはやがて一つの正しい「物語」として正本がつくられる――。どのような力学がそこに働いたのか。この列島の社会に広がる「声」の文学をもとめて各地をめぐり、従来の文学史からはこぼれ落ちる「ものがたり」をひろいあげ、織りなしたとき、いままで見えなかった豊饒な文学世界が浮かびあがる。第一人者がひもとく、誰もみたことのない文学史にして、文学論。

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[目次]

序説

第一部 物語の政治学

第一章 歴史としての『源氏物語』

第二章 源氏将軍家の芸能――「平家」正本のゆくえ

第三章 『平家物語』の演奏――二つのヴァージョン

第四章 平曲の成立、創られる伝統

第二部 物語の伝承学

第一章 盲僧琵琶の伝承――物語芸能と神事

第二章 物語伝承の生成――口頭伝承論(1)

第三章 即興性と同一性――口頭伝承論(2)

第四章 記譜法(ノーテーション)の模索――口頭伝承論(3)

第三部 語り手の位置

第一章 源氏将軍家の動向から――当道座の形成と再編

第二章 神話と諸職――中世太子伝、戦人由緒書など

第三章 宿神、蝉丸その他――始祖伝承の意味するもの

第四章 語り手とはだれか――ジェンダーのかたち

第四部 物語の文体と思想

第一章 中世仏教史の課題と物語史――「源氏」から「平家」へ

第二章 浮舟の「うき身」と救済/非救済の物語

第三章 言文一致体の起源――「主体」の観念、「近代的自我」の始まり

第四章 『源氏物語』と樋口一葉――方法としての和歌

第五章 『遠野物語』の位置――ことばと「現実」

結語 物語の文献学へ

盲僧琵琶の語り者・兵藤コレクション(録画・録音資料リスト)

人名索引

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[著者]兵藤裕己(ひょうどう・ひろみ)

1950年名古屋市生まれ。専門は日本文学・芸能論。埼玉大学、成城大学を経て、現在は学習院大学名誉教授。文学博士(東京大学)。1996年に『太平記〈よみ〉の可能性』でサントリー学芸賞、2002年『〈声〉の国民国家・日本』(のちに『〈声〉の国民国家』に改題)でやまなし文学賞を受賞。著書に『語り物序説』(有精堂)、『王権と物語』(岩波現代文庫)、『物語・オーソリティ・共同体』(ひつじ書房)、『演じられた近代』(岩波書店)、『琵琶法師』(岩波新書)、『後醍醐天皇』(岩波新書)、『平家物語の読み方』(ちくま学芸文庫)、『物語の近代』(岩波書店)ほか。校注に『太平記』全六冊(岩波文庫)、編注に『説経節俊徳丸・小栗判官他三篇』(岩波文庫)がある。