定価3,300円(本体3,000円)
発売日2025年8月26日
ISBN978-4-7917-7734-1
まったく新しい日本哲学の見取り図
哲学者を記述することは、たんなる思想の列挙ではない。本書で描き出されるのは、1970年代から現代において活躍する日本の哲学者たちの思索であり、それは同時にそれ自体が哲学であるような哲学史でもある。純粋思考、ア・プリオリな理論、歴史との対決を鍵概念につむがれる、現在進行形の哲学史。
本書に登場する哲学者:廣松渉・大森荘蔵・埴谷雄高・池田晶子・永井均・小泉義之・左近司祥子・鷲田清一・中島義道・野矢茂樹・田島正樹・河野哲也・中岡成文・村上靖彦・大越愛子・森岡正博・野家啓一・高橋哲哉・竹村和子・柄谷行人・入不二基義・濵田恂子・藤田正勝・檜垣立哉・中島隆博
[目次]
まえがき
第一章 現代日本哲学史をどう語るか——自己認識を目指す企て
第二章 近代と対決するために——廣松渉の思索・理論・歴史実践
第三章 物心二元論の歴史的超克——大森荘蔵の「立ち現われ一元論」
第四章 現代日本哲学におけるデカルト的転回——埴谷雄高から池田晶子へ
第五章 純粋な思考のスタイルズ——永井均と小泉義之
第六章 考える私の諸相——左近司祥子、鷲田清一、そして中島義道
第七章 反省的理論構築の時代へ——中島義道の続き、そして野矢茂樹
第八章 批評から哲学へ——浅田彰の『構造と力』と東浩紀の『存在論的、郵便的』
第九章 理論構築による思考と実践の再活性化——田島正樹と河野哲也
第一〇章 理論を経由し、理論の外へ——鷲田清一と中岡成文、そして村上靖彦
第一一章 歴史的な企てのほうへ——大越愛子と森岡正博
第一二章 現代日本哲学史におけるふたつの論戦——永井と小泉、野家と高橋
第一三章 性をめぐる近代の枠組みとの対決——竹村和子の『愛について』
第一四章 交換様式史による近代との対決——柄谷行人の『世界史の構造』(一)
第一五章 交換様式Dへ向かう脱近代的思考——柄谷行人の『世界史の構造』(二)
第一六章 現代哲学のアノマリーへの一瞥——幾度目かの永井均、そして入不二基義
第一七章 近代的な哲学の反復を抜け出すこと——濵田恂子と藤田正勝
第一八章 別の仕方の哲学を待ち望む——檜垣立哉と中島隆博
あとがき
[著者] 山口尚(やまぐち・しょう)
1978 年生まれ。哲学者。専門は形而上学、心の哲学、宗教哲学、自由意志について。著書に『難しい本を読むためには』(ちくまプリマー新書)、『日本哲学の最前線』(講談社現代新書)、『人間の自由と物語の哲学』『幸福と人生の意味の哲学』(以上、トランスビュー)、『哲学トレーニングブック』(平凡社)、『クオリアの哲学と知識論証』(春秋社)など。