定価2,420円(本体2,200円)
発売日2025年10月27日
ISBN978-4-7917-7745-7
『ちいかわ』は細部にわたって音楽的!?
赤塚不二夫マンガをなぜ口ずさんでしまうのか?
うたの力によってコマが進む高野文子作品…。
何気なく読めてしまっているマンガには、表現の妙技が詰め込まれていた! 一コマ一コマを細やかに読み解くことで見えてくる、まったく新しいマンガの読み方。

[目次]
はじめに
Ⅰ うたは細部に宿る
動作のリズム——ナガノ『ちいかわ』
音楽はいつ終わるか——「ひとりごつ」考
Ⅱ うたがマンガを生む
欠片と欠片——市川春子の声と歌
うたとうどん——高野文子『奥村さんのお茄子』論
Ⅲ うたの専制
あふれる牛がやってくる——スズキロク『よりぬきのん記』
替え歌と節——中沢啓治『はだしのゲン』
声に出して読む赤塚不二夫——『もーれつア太郎』をめぐって
赤塚不二夫『レッツラゴン』が鳴らす声
Ⅳ 調子のよい声、滞る声
子どもの多声——さくらももこ『ちびまる子ちゃん』
内言のない会話劇——「日記」以前としての『BUTTER!!!』
マンガの声、アニメーションの声——大川ぶくぶ『ポプテピピック』
Ⅴ コマを渡るうた
こまどりは死に、うたが始まる——魔夜峰央「クック=ロビン音頭」考
一九七七年夏の一ページ——江口寿史『すすめ!! パイレーツ』序説
声と動作の分割——クオンタイズするコマ
ナレーションを操る者たち——語りの逸脱
Ⅵ 書き文字の声
らくがきするな——『すすめ!! パイレーツ』の余白に
panpanyaの主題による四つの変奏
追想の捕球法——松本大洋『花男』論
*
反転と転生——大島弓子試論
あとがき
引用図版一覧
初出一覧

[著者]細馬宏通(ほそま・ひろみち)
1960年生まれ。行動学者。早稲田大学文化構想学部教授。著書に『絵はがきのなかの彦根』(サンライズ出版 2007)、『浅草十二階 増補新版』(青土社 2011)、『今日の「あまちゃん」から』(河出書房新社 2013)、『ミッキーはなぜ口笛を吹くのか』(新潮選書 2013)、『介護するからだ』(医学書院 2016)、『二つの「この世界の片隅に」』(青土社 2017)、『いだてん噺』(河出書房新社 2020)、『絵はがきの時代 増補新版』(青土社 2020)、『うたのしくみ 増補完全版』(ぴあ 2021)、『フキダシ論』(青土社 2023)など多数。