定価3,080円(本体2,800円)
発売日2026年2月25日
ISBN978-4-7917-7768-6
神経科学の最新の技術と知見から、大切な人の「不在」が脳に及ぼす影響を解き明かす。
離別や死別による悲嘆(グリーフ)に、わたしたちは深く悩まされる。この状況を脳はどのように理解して、対処しようとしているのか——。
悲嘆研究の第一人者である著者が、脳画像分析から臨床的調査まで、あらゆる手法を駆使しながらこの耐えがたき経験に迫る。

[目次]
はじめに
第Ⅰ部 ここ(空間)、今(時間)、親密さの次元を喪失することの痛み
第1章 暗闇を歩く
脳は喪失をどのように理解するのか? / マップに関する問い / 進化は鋳掛け屋である / 愛着の絆 / 次元の消失 / 私は頭がおかしいのか? /夜中に最愛の人を探す / 間隙を埋める / 時間の経過
第2章 親密さを求める
そこにいること /ゴースティング / 怒り / 親密さの次元の脳科学的な証拠 / 親密さと継続する絆 / 絆 / 有名人に対する悲嘆 / 自分自身の一部を失う / ミラーニューロン /共感
第3章 魔術的思考
進化の貢献 / 霊長類の悲嘆 / 記憶 / 習慣 / 互いに矛盾する二つの信念 / 服喪に時間がかかるのはなぜか? / 魔術的思考に気づく
第4章 順応
脳の働きをいかに画像に収められるのか / 結果 / 実験結果に基づくさらなる問い / 公衆と科学を共有する / ヒーローの旅 /死別の対処における二重プロセスモデル
第5章 悲嘆の合併症
悲嘆の軌跡 / 回復型 / 悲嘆対うつ / 遅延性悲嘆障害 / 悲嘆と脳の構造 / 死別における認知機能、現在と将来 / 複雑性悲嘆のための心理療法 / 複雑性悲嘆の診断の問題
第6章 最愛の人に対する思慕
あなたは誰なのか? / ハタネズミはパートナーを探す / 錠と鍵 / ニューヨークで会う / 悲嘆の痛み / 回復型の被験者と複雑性悲嘆を経験している被験者の違い / 脳画像研究にともなう問題 /偉大なシステム
第7章 違いを知るための知恵を獲得する
突然、どこからともなく / 乳児を車に置き去りにしてはならないことを思い出す / あなたには選択肢がある / 柔軟性 / 人生の明るい側面 / 死別者をケアする / 静穏の祈り
第Ⅱ部 過去、現在、未来の回復
第8章 過去に浸る
反芻 / 悲嘆に関連する反芻 / なぜ反芻するのか? / ともにいること / 受け入れ / 認識
第9章 現在の瞬間に生きる
パニック / 現在が与えてくれるもの / 不眠 / 眠れぬ人々の川 / 切り替え / 心の迷走 / 喪失の無意識的な処理 /愛
第10章 未来をマッピングする
悲嘆と服喪 / 未来を計画する / 過去の一部、未来の一部 / 回復 / 人間関係の未来 / 新たな役割、新たな人間関係 / 巣立ち / いつ関係の構築に着手すべきか?
第11章 学んだことを教える
学習に関する科学の見方 / 悲嘆101 / 助言によって学ぶことはできない /私が学んだこと
謝辞

[著者]マリー=フランシス・オコナー(Mary-Frances O'Connor)
アリゾナ大学心理学教授。同大学で臨床心理学の博士号を取得後、UCLA 精神神経免疫学カズンズセンターにて博士研究員をつとめる。アリゾナ大学で悲嘆・喪失・社会的ストレス(GLASS)研究所を主宰し、悲嘆が脳と身体に及ぼす影響を研究している。モンタナ州で育ち、現在はアリゾナ州ツーソン在住。著作として、本書のほかに The Grieving Body(HarperOne)がある。
[訳者]高橋洋(たかはし・ひろし)
同志社大学文学部文化学科卒(哲学及び倫理学専攻)。IT 企業勤務を経て翻訳家。エリック・カンデル『なぜ脳はアートがわかるのか』(青土社)、アンディ・クラーク『経験する機械』(筑摩書房)、バチャ・メスキータ『文化はいかに情動をつくるのか』、リサ・フェルドマン・バレット『情動はこうしてつくられる』、ジョナサン・ハイト『社会はなぜ左と右にわかれるのか』(以上、紀伊國屋書店)、マイケル・トマセロ『行為主体性の進化』、アントニオ・ダマシオ『進化の意外な順序』(以上、白揚社)、ジョセ フ・ルドゥー『存在の四次元』(みすず書房)ほか、科学系の翻訳書多数。