定価4,180円(本体3,800円)
発売日2026年3月25日
ISBN978-4-7917-7776-1
同性愛科学【ゲイ・サイエンス】の歴史をひもとく
・遺伝学者は、「同性愛者は生まれつきである」証拠を突きとめようとした。
・動物学者は、同性愛を自然現象と見なして、さまざまな生き物たちの行動を記録した。
・進化論者は、同性愛を自然淘汰の産物として、その適応的価値について考察した。
・精神科医学は、はじめ病理化していた同性愛を、正常なものととらえようとした。
科学における過去200年あまりの言説をたどると、そこには事実と価値観をめぐる複雑な歴史があった。男性同性愛に関する科学的研究の歴史と哲学を探求する待望の書。

[目次]
序 科学と同性愛について考える
ゲイ・サイエンスの歴史と哲学/たくさんの名をかたる愛/本論で論じていないこと/本論で論じていること
第一章 遺伝子やホルモンだけが原因ではない――同性愛と生得性について
『問題集』の湿った臀部/生まれつきなのか? もちろん!/統合失調症の家族と同性愛者の双子/科学は生得性を説明できるのか/遺伝率としての生得性/水路【キャナリゼーション】づけとしての生得性/なぜ生得性の主張を避けなくてはならないのか/社会的に、なんなのか?/同性愛を構築する/いかに(反)構築主義が混乱しているか/結論
第二章 偽交尾そのほかの不品行――動物の同性愛について
コフキコガネの話/動物の同性愛を安易な説明で片づける/ホブソンの選択/嘆かわしき過ち/どのくらいゲイでありうるのか/欲求/嗜好/指向/アイデンティティ/性交か優位性か?/あのペニスをつかめ!/“アイソセクシアリティ”とそういったものすべて/動物モデルと人間の同性愛/結論
第三章 パラドックスを超えて――同性愛と進化論について
パラドックスとその歴史/鎌状赤血球仮説/パトロン仮説/同性愛と均質性/同性愛と生殖の成功/同盟形成仮説/血縁影響仮説/結論
第四章 価値観、事実、障害――同性愛と精神医学について
性的逸脱を病理化する/性本能とその変遷/同性愛的精神病質/エディプス(オイディプース)はゲイだったのか/初期の性科学における同性愛/初期の『精神疾患の診断・統計マニュアル』と同性愛論争/不幸せな同性愛者と幸せなフェティシスト/科学にとっての勝利?/同性愛を病理化することの危険性/概念分析とその先/消去主義から実利主義への哲学的な近道/結論
エピローグ ゲイ探知機【ゲイダー】と性的指向に関する研究の危険性
自然に反する/わたしたちの寛容な性質/無知は至福なのか/出版するな、しなければ滅びない/検閲に反対する
献辞
参考文献
訳者あとがき
索引

[著者]ピーテル・R・アドリアンス(Pieter R. Adriaens)
ベルギーのルーヴェン・カトリック大学哲学研究所の准教授。精神医学および性科学の歴史と哲学に関連するテーマを研究している。
[著者]アンドレアス・デ・ブロック(Andreas De Block)
ベルギーのルーヴェン・カトリック大学哲学研究所の教授。性、科学、そして価値観の哲学、および医学の実験哲学を中心に研究している。
[訳者]宇丹貴代実(うたん・きよみ)
翻訳家。訳書に、ネイサン・スロール『アーベド・サラーマの人生のある一日』(薩摩書房)、スティーヴン・モス『鳥が人類を変えた』、ルーシー・アドリントン『アウシュヴィッツのお針子』(以上、河出書房新社)、ジョン・デイ『わが家をめざして』(白水社)、ライアンダ・リン・ハウプト『モーツァルトのムクドリ』(青土社)など多数。