定価2,860円(本体2,600円)
発売日2026年3月25日
ISBN978-4-7917-7775-4
異端の画家は何を描き、何を描かなかったのか
いちど見たら忘れない特徴的な画風にもかかわらず、これまで作品には十分に焦点が当てられてこなかったイタリア生まれの芸術家アメデオ・モディリアーニ。モデルの有名無名を問わず、一貫して知己を描き続けた画家の核心はどこにあるのか。瞳のないまなざしが喚起させる「気分」とは何か。ムード、ヌード、ボヘミアン、モード、フェイク。5つの視点と豊富な図版からその真髄に触れる異色の芸術論にして決定版。

[目次]
はじめに
第1章 ムード
鏡像としての自画像/ピエロとしての自画像/塗りつぶされた両目/開いた片目とつぶれた片目/誰であれ人は美しくて愛すべき存在である/「気分 」の肖像/「気分」を「調律する」/彫刻からのインスピレーション
第2章 ヌード
一九一七年の伝説的な個展——画廊主ベルト・ヴェイユの回想/警察に没収された裸体像/モディリアーニのヌードのスキャンダル/「ヌード」と「裸」/ヌードのスキャンダル/裸婦像の新たな系譜
第3章 ボヘミアン
マリー・ヴァシリエフの食堂/「アパッチ」のようなモディリアーニ/芸術の「ならず者」/「リラとパレット」——第一次世界大戦下のボヘミアンたちの密かな抵抗/「リラとパレット」第一回展/アフリカ彫刻の展示/ズボロフスキーとの晩年/ボヘミアンの死と神話化
第4章 モード
《アマゾーン》/ギャルソンヌ・ルックの先駆け/ボーイッシュな短髪、ボブヘアカット/祝祭としての異性装/ベアトリスへのオマージュ
第5章 フェイク
AIレンブラント、AIモディリアーニ/史上もっとも偽造された画家モディリアーニ、揺れるカタログ・レゾネ/贋作ハンター/ペテン師エルミア・デ・ホーリー/「フェイク」にも見るべきところはある
おわりに
参考文献

[著者]岡田温司(おかだ・あつし)
1954年広島県生まれ。京都大学名誉教授。専門は西洋美術史・思想史。著書『モランディとその時代』(人文書院)で吉田秀和賞、『フロイトのイタリア』(平凡社)で読売文学賞を受賞。そのほか『半透明の美学』(岩波書店)、『人新世と芸術』(筑摩選書)、『映画が恋したフロイト』(人文書院)など著書多数。