定価3,960円(本体3,600円)
発売日2026年9月8日
ISBN978-4-7917-7801-0
マスイメージとラカン理論
理論化された高次の文化と、通俗的な大衆文化を重ね合わせ、そこから社会の見えない主体を浮かび上がらせる、ジジェクの透視図法。ヒッチコックからS・キング、あるいはマッカロウからロメロまで、大衆文化の豊かな実りを存分に愉しみながら、ラカン理論の核心を解き明かす。同時に、民主主義という形式的普遍主義にひそむ陥穽を告発。東欧ポスト・マルクスのラディカルなヴィジョンを鮮烈に展開。

[目次]
はじめに
謝辞
第一部 現実はどれほど現実(界)的か
第1章 現実から〈現実界〉へ
〈対象a〉のパラドックス
現実の中のブラックホール
第2章 〈現実界〉とその運命
〈現実界〉はいかにして回帰し、応答するのか
〈現実界〉はいかにして描出され、知るのか
第3章 欲望の〈現実界〉を避ける二つの方法
シャーロック・ホームズ方式
フィリップ・マーロウ方式
第二部 ヒッチコックについてはいくら知っても知りすぎることはない
第4章 騙されない者が誤るのはなぜか
「無意識は外にある」
消える婦人たち
第5章 ヒッチコックにおける染み
男根的歪像
母なる超自我
第6章 ポルノグラフィティ、ノスタルジー、モンタージュ――視線の三幅対
倒錯した短絡
ヒッチコック的カット
第三部 幻想・官僚制・民主主義
第7章 イデオロギー的サントーム
対象としての視線と声
「汝のサントームを汝自身のように愛せ」
第8章 ポストモダンの猥褻な対象
ポストモダニズム的断絶
官僚制と享楽
第9章 形式的民主主義とそれに対する不満
幻想の倫理学に向けて
ネーション=物
原註
訳者あとがき
解説――上野俊哉
引用文献索引

[著者]スラヴォイ・ジジェク(Slavoj Žižek)
1949年スロベニア生まれ。哲学者・精神分析学者・リュブリャナ大学で哲学博士号取得後、パリ第8大学で精神分析学博士号取得。現在はリュブリャナ大学社会学研究所教授。著書に『否定的なもののもとへの滞留』(ちくま学芸文庫)、『ポストモダンの共産主義』(ちくま新書)、『パラヴィックス・ヴュー』(作品社)、『もっとも崇高なヒステリー者』(みすず書房)、『絶望する勇気』(青土社)、『戦時から目覚めよ』(NHK出版新書)など多数。
[訳者]鈴木晶(すずき・しょう)
1952年生まれ。東京大学文学部ロシア語ロシア文学科卒業。法政大学名誉教授。専門は精神分析思想史と舞踊史。著書に『フロイト以後』(講談社現代新書)、『フロムに学ぶ 「愛する」ための心理学』(NHK出版新書)、『ニジンスキー 踊る神と呼ばれた男』(みすず書房、第75回読売文学賞および第34回吉田秀和賞受賞)など。訳書にフロム『愛するということ』(紀伊國屋書店)、キューブラ―・ロス『死ぬ瞬間 死とその過程について』(中公文庫)、ジジェク『イデオロギーの崇高な対象』(河出文庫)、ジジェク『ラカンはこう読め!』(紀伊國屋書店)、ニジンスキー『ニジンスキーの手記 完全版』(新書館)など。