定価1,980円(本体1,800円)
発売日2026年7月27日
ISBN978-4-7917-1500-8
孤独でも自由でもない「ひとり」
ひとりで生きることは、もはや“あたりまえ”のひとつとなった。それは自由な個として生きる可能性を開く一方で、老後の自己責任論やケアの空洞化といった新たな規律と不安を強化してもいる。本特集では、〈ソロ〉という主題を手がかりに、新たな個のあり方、そして親密圏と共同体の問題に迫る。

[目次]
特集*〈ソロ〉の現在――ひとりでいることの思想
【討議】
自由と孤独のアンビバレンツ――新しい個と親密圏を考える / 戸谷洋志+松浦優
【労働とライフステージ】
「一人」から「連帯」まで駆け足で語る / 栗田隆子
「女の時代」の「ソロ」――『とらばーゆ』にみる働く女性の「自分」 / 彭永成
高齢女性の貧困と一人暮らし / 阿部彩
「シングル化」する社会と制度の不整合――家族依存型福祉国家の構造的限界 / 丸山桂
【それぞれのリアリティ】
群れを離れて――「老い」のソロ作法 / 安田登
〈独身者〉の誕生 啓蒙時代の生政治と男性性 / 貝原伴寛
一人でいるのがうまくなる 異性愛男性の孤独と病み/闇をめぐって / 西井開
【ひとりと・誰かと・みんなと…】
団らんはどこに宿るのか――家族・市場・サードプレイスを超えて / 永田夏来
結婚のテトラレンマ――結婚制度はいかなる意味で乗り越えられるべきなのか / 渡辺一樹
つながりのなかの「ソロ」――ケアの倫理から小説『あくてえ』を読み解く / 冨岡薫
【〈ソロ〉からはじまる】
カタツムリの家 石井ゆかり
「ひとりでいる」こととキェルケゴール――「単独者」の思想と、その深み / 鈴木祐丞
「ひとりである」とはどういうことか――田中美津の「取り乱し」を参照点にして / 脇坂真弥
ソロの身裡に死者らんまん――ダナ・ハラウェイ、死者、共命創発 / 逆卷しとね
連載●社会は生きている●第四八回
社会の制御 11――近代を括弧にくくる / 山下祐介
連載●京都〈移民〉紀行●第一七回
継承されるヴォーリズ建築の精神 / 森 千香子
連載●東京学派と革命●第三回
歴史主義的な関係主義の哲学へ――『マルクス主義の地平』 / 山口尚
連載●家族と憲法●第一四回
同性婚訴訟高裁判決の分析――「あなたの中にしかない婚姻」のことは聞いていない / 木村草太
連載●対話篇 スコラ哲学と圏論の邂逅●第七回
スコラ哲学の迷宮を訪ねる(3)――イブン・スィーナーの普遍論 / 山内志朗+西郷甲矢人+鈴木大地
【研究手帖】
社会的再生産の地勢を描き出す / 畔蒜和希